第16話 世界の今後は如何に
「一体どうなっているんだ」
「急いで対応しないといけませんよ!」
「だけどどうする? 電話も使えない、外には化け物が居る!」
会議がたまたまあり、政治家達はかなり一箇所に集まっていた。
だが、それは逆に悪いと言える状況でもある。
まず、世界にモンスターが溢れるようになってから電話などの通信機器が扱えない。
これにより軍を動かすにも連絡が出来ず、外を移動しようにもモンスターが蔓延っている。
車などを使おうとしても道路がボロボロで上手く機能しないだろう。
そんな状況で今後の対応を考えた話し合いが永遠と続いている。
その時にも当然、モンスターに殺される人間は増えている。
誰もが言葉を出しては否定されて動く気配はない。
政府が動かないから国民はどうしていいのか分からずオドオドするだけ。
まだそう言う世界になってから時間が浅いのも当然理由になっているだろう。
この人達が立ち上がれる頃には一体どれだけ彼らを支持している人がいるのだろうか。
或いは職業に恵まれて権威を示す事が可能だろうか。
対して自衛隊のこの世でも明確な力を持った人達は既に行動をしていた。
国を守るのが、国民を救うのが、自衛隊の役目と言って。
当然隊長が独自の命令を出している。
近くの国民に案内指示を出しながらモンスターを化学兵器で殲滅する。
ステータスの存在には既に気づいており、利用している。
全員が軍人を選んでいる訳出なく、『鍛冶屋』を選んだ人もいる。
理由としては、戦闘員だけではいずれ武器が枯渇すると判断したからだ。
それは良い方に転び、作成系スキルは銃や弾丸だった。
銃ならば国民でも訓練すればモンスターと戦える強い力となる。
スキルで生成する機関をきちんと作り出せたら自衛隊はこの世界でも権威を示す事が出来るだろう。
⋯⋯だが、誰もが国民を守る正義感溢れる自衛隊な訳ではない。
最初の方は問題ないだろうが、不満が積もればいずれそれは爆発する。
「隊長! これからどうしますか?」
「そうだな。救出する際に食料なども一緒に運び出しているが⋯⋯」
「誰も進んで分かち合う感じはないですよね。感謝の言葉を出す事もなく、守られる事が当たり前って言う様子で」
「仕方ないさ。誰もこんな現実を受け入れられない。すぐに受け入れて行動を起こせる人なんて、居ないんだよ」
食料調達を行う部隊、国民を集める部隊、基地を守る部隊に分かれている。
外を移動する人達は情報収集も一緒に行う。
国民の白旗を確認して助けに向かう。
「助けに来ました! 大丈夫ですか!」
ヘリはなるべく温存する方向性で行っているので、徒歩で国民を探している。
自衛隊が動く中で期待している人は多くいる。
でも、自ら行動してモンスターと戦う人は少なからず居た。
そのような人は現実を受け止めて居る人、現実味がなくてゲーム感覚で戦う人も居る。
あわよくばこの世界なら勇者になれるのでは無いか? と思って戦う人も居る。
「じ、自衛隊さん? アナタ、助けが来たよ!」
「おお、本当か! 待っててください。今準備を」
「食料だけを持って来てください」
「待ってよ。通帳は? 他にも大切な物があるんですよ!」
「命と金、どっちが大切ですか! 食料だけを持って移動します!」
助けられる国民は嫌な顔をしたが、銃を持っている自衛隊の言葉に従った。
命が重要だと判断したのだ。
だが、今後の事なんてある程度の予測は可能であり、食料を持ち出していても自分だけが持っているように食料を少しだけ隠す。
均等に配られるのは嫌なのだ。
自衛隊はそのまま国民達を守りながら、戦いに参加して貰うように願う予定だ。
このまま守っているだけではいずれただの『穀潰し』となる。
今は皆が協力しないと生き残れない⋯⋯それは誰もが分かっている。
しかし、人間を簡単に殺す化け物達と戦えるような精神力は一般人には備わっていない。
そう、一般人には。
まだ一夜終えただけと言う短い時間だが、様々な場所で生活は固まりつつある。
それらを壊す存在も当然居る。
ネームドモンスター、ユニークモンスターなどの上位モンスター。
人間を嬉々として殺し回る殺人鬼。別世界から迫る脅威。
宇宙から迫る危機、元来から存在する自然災害。
まだまだ問題は山積みであり、それをどう解決して行くかが、この世界を生き残る上で重要なのだ。
◆
「ぬああああああ!」
私は目の前のゴブリンの両足を切断して動きを止める。
二体入れば十分なので、残りの三体はスズちゃんがぶち殺す。
そろそろ【銃生成】のレベル4で作れるショットガンを作れそうだ。
ハンドガンだけでも良いだろうが、他の武器も欲しいとの事。
「さぁ、コイツにトドメを刺して」
子供達二人は優希くんと蘭奈ちゃんと言う名前である。
両親が仕事で帰ってこず、外にモンスターが居て一箇所に留まるのが怖くて逃げていたところで私達とあってらしい。
偶然にも学校は運動会の代休日であったそうで。
前の娘さんはまだ家族の存在がしっかりと居たが、この二人にはいない。
なので私達が安全圏まで案内する予定である。
当然、そうなるとステータスが必要なのでモンスターを殺させよとしている。
力で抑え付けると今後に関わるので、あの家族と同じような事はしない。
「大丈夫! 怖くないよ!」
『ギガあぁぁぁぁあ!』
『うがあああああ!』
「とっても怖いです!」
「ウンウン」
ん〜目を見開いて叫んでいるだけで対して怖くないんだけどなぁ。
と言うか、私達にとっての怖いってアイツくらいだしなぁ。
やっぱりそこら辺も普通とはちょっと違うのかな?
それでもステータスは確実に必要となるし⋯⋯モンスターを殺す感覚にも慣れないといけない。
ちなみに今はドラッグストアの近くのだが⋯⋯瓦礫とかでボコボコだった。
アイテムボックスで瓦礫事回収して、少しばかりは残っていたアイテムも回収済み。
そして人の気配がしないビルへと目を向ける。ここに目的のモンスターが居る。
「お姉ちゃん速く、段々と力が強くなってるよ」
ゴブリン達はスズちゃんに踏まれても尚、手で抗おうとする。
抜け出す事は当然不可能だが、生きる為にはなんでもするだろう。
「詮索さん、何か良い方法ない?」
《回答。戦闘への参加をこの世界を管理しているシステムに反対させれば良いので、石などを投げて当てさせれば良いです》
「あ、そんなんだも良いんだ。トドメを刺さないとダメだと思ってた」
《気になったのならば【詮索】の使用をオススメします。このスキルは世界システムへの干渉を⋯⋯》
「あーはいはい。今後はそうします」
「お姉ちゃん、絶対に詮索さんに嫌われないでね? と言うかもうアタシにちょうだいよ」
《スキル譲渡の方法を詮索します》
「鵜呑みにするな!」
そして子供達には石を投げて貰い、ナイフでトドメを刺した。
残りの一体はアオさんにトドメを刺させたけど。
⋯⋯さて、本命行きますか。
【あとがき】
もしも集まって居なかったら、各々で解決に動き出していたかもですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます