丑の刻参りにおける参加人数の影響
島谷 太郎, 宇部 航平, 亜我 裕二(阿闍梨那大)
[論文概要]
丑の刻参りは日本において伝統的に行われてきた呪術のひとつであり、現代でも全国で盛んに行われていることが報告されている。この術の様式は諸説・諸種類あるものの、1つの依代を損壊する行為の主体は通常1人であり、複数人での同時損壊行為が行われたとされる事例は、少なくとも公式には報告例がない。本研究では丑の刻参りにおける損壊行為の参加人数を増やすことで、その呪的効果がどう変化するかを明らかにした。
実験では、まず呪術対象者の毛髪を内包した薄型の藁人形を作成し、協力いただいたS寺の梵鐘に瞬間接着剤で取り付け、その上からさらに鉄の板を貼り付けて打ち損じを軽減した。鉄の板の裏側には頑丈な金属の突起物を溶接しておき、これを損壊用の釘とした。準備後、梵鐘を使用した除夜の鐘をS寺の参拝客に突かせることで、多人数による藁人形への連続損壊行為を行わせることができた。また、丑の刻に合わせるためS寺には特別にイベントの開催時刻を1時間ずらしていただいた。
実験対象とした亜我教授は除夜の鐘のイベント終了後、観察室にて腹部から爆裂し死亡が確認できた。このことから、参加人数を増やすことで丑の刻参りの呪的効果が劇的に高まることが明らかとなった。ただし本研究は多人数での損壊行為ではあるものの、イベントに参加した参拝客からの連続的打撃にすぎず、複数人による同時打撃の影響については明らかにできていない。刀鍛冶、鏡開きといった同時性の高い打撃を伴う活動の利用を検討する必要がある。
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