眩い月の光を放つ満月の日。

花道は江戸の玄関口である日本橋に来ている。

(花道。気をつけろ)

「イズナは未来さんのもとに戻っていてください」

イズナはこの場を離れる。

花道の前に絶世の美女とも言われそうな女性玉藻が現れる。

「童のお出迎えとは嬉しい限りじゃ」

「妖を江戸には足を踏ません」

玉藻は九本の尾を花道に飛ばす。

花道は結界を張って攻撃を跳ね返す。

「人間に捨てられ、神に育てられたお前自体が妖でないか?」

「妖に関係ない」

花道は呪印を示すと式神を飛ばす。

「ちっ、今日のところは引き上げる」

玉藻は姿を消す。

「逃げたか」

長屋では未来が洗濯を畳んでいる。

「今日はいつ帰るのかしら?」

すると、安部剛が現れる。

「あなたは?」

「花道は戻ったか?」

「いえ、まだです」

「あいつが戻って来たら仕事があると伝えろ」

「あのぅ、あなたは彼の師匠なんですか?」

「お前に関係ない。用件だけ伝えろ」

剛は去る。

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江戸の妖事情 さやか @syokomaka09

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