第三話裏 邂逅

「ねぇ、クローバー?」


なんですか?アリア姫。


「どうして、貴方は傷を治したり出来るの?」


ふふっ、貴方は不思議なことを仰る。


「どうして笑うの?」


だって、解りきっていることでしょう。

もちろん、昔から魔法を学んで来た、その事実はあります。


「それ以外に何かあるの?」


…王の命令でもない、これは僕の意思です。

アリア姫、貴方を守るためですよ。


「私のため…?」


そう、貴方がいつも、笑顔でいられますように―。





「絶対に、貴方のこと、忘れないからね」


「ありがとうございます、アリア姫―」


クローバーはそう言うと、そのまま意識を失った。

まるで、満足そうに微笑みながら。


「さ、行くぞ」


「うん…!」


アイヴィーが先に歩き、少しずつアリアと歩幅を縮め、を繰り返し、舞踏会会場の鉄扉までやってきた。

そして、音を殺すように少しずつ扉を開け、彼女らの鉄格子の扉を開く。

アリアが、少女達に声をかけた。


「貴方達、もうここにいる必要はないよ、一緒にここから逃げよう」


…。

誰ひとりとして、そこを動く者はいなかった。


「ど、どうして…?何で誰も来ないの!?」


「…わたしは、ジュピターホールの代わりに納品された」


その中の少女の一人が、ぽつりとそう呟いた。


「この国では、ジュピターホールを年に12回納品しないといけない。

 けど、わたしの両親はジュピターホールを納品するだけの資源がなかった。

 その代わりに、わたしは納品されたの」


「そんな…皆そうなの!?」


アリアが聞くと、殆どの少女が頷いた。

しかし、一人だけ、頷かなかった少女がいた。

その時、アリアの記憶が鮮明になる。

そうだ、この少女は、私に瓜二つの子だ…!


「貴方は…?貴方はどうしてここにいるの…?」


「…クレマチスから連れて来られた」


アリアは驚いたとともに、姥からこんな話を聞いていたことを思い出した。


“アリア姫、貴方には瓜二つの双子の女の子がいたのよ”


その少女が、まさか…。


「貴方、クレマチスまで一緒に帰らない…?」


「いいの?そんなことして…」


「もちろんよ、姫である私が許す!」


「ありがとう…」

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