カッコ良すぎる葛城さん

場内アナウンスが始まった。

『今回の周年記念にあたり、社史を映像化してくださいました。カツラギデザインの葛城社長からご挨拶を頂戴いたします。』


「ご紹介いただきましたカツラギデザインの葛城でございます。この度は、創業100年の周年行事にあたり、社史の映像化という大役を仰せつかり、大変ありがたく、感激しております。・・・・・・約20分でございます。輝かしい歴史を十分にご堪能下さい。」


 おちついた声での葛城の挨拶が終わった。真奈美も一緒に緊張していた。



場内アナウンス

『上映にあたり、場内を暗く致します。スクリーンをご覧くださいませ。』 



音楽が鳴り始め、お腹に響くような音は一気に映像の世界に引き込んだ。その後風が吹くように場内いっぱいに光が舞い、会場のあちらこちらでプロジェクトマッピングが始まった。

まるで夢の世界のようだった。プロジェクトマッピングと社史の映像が掛け合わさったような、今まで見たことのないものだった。すっかりその世界に飲み込まれた。


あっという間に20分が過ぎた。



終わった後、会場からは割れんばかりの歓声と拍手がおこった。

ゆっくりと会場のライトが点灯した。



葛城さんは、社長と握手している。そして、その他の御歴々から握手を求められたり、名刺交換をせがまれたりしている。


— 凄い・・・あんなに賞賛されてる・・・

— 忙しそう・・・

— やっぱり葛城さん達凄い・・・こんなの作れるなんて凄い・・・


真奈美は少しの間 感激で立ちすくんだ。


 

3人が戻ってきた。


「すごかったです、見入っちゃいました。あんなの作れるんですね。凄すぎます。自分がどこにいるのか分からなくなりました。本当に素敵でした。こんなの初めてで見せていただいてありがとうございました。うれしいです。感激です。」


真奈美はなんだか涙が出てきた。


「真奈美さんありがとう。みんな頑張ったからね。それに葛城が諦めないから、いいもの出来るんだ。こんなもんだろって思うんだけど葛城はとことんやる。こっちはたまったもんじゃないけど、出来上がりはいつもみんな満足できる。それを知っているから、だから頑張っちゃうんだよね~」


加納さんは頬を高揚させて話してくれた。


— 葛城さんって優しそうだけど、仕事には妥協しないんだ。凄い・・・


3人も無事終わって安心したと同時に興奮しているようだった。



それからしばらくして葛城さんが戻ってきた。


「あー、やっと抜けれた。みんなお疲れ~。あっ真奈美さんありがとう来てくれて。今日はまた素敵だね。」


そう言って加納は真奈美を上から下まで見てから満面の笑みを浮かべた。


「凄かったです。もうびっくりで、こんなの初めて見ました。興奮しています。」


「あー良かった、ホッとしたよ、頑張った甲斐がある。クライアントも喜んでくれたしね。終わったぁ~・・・加納~~あと頼んでいい? 」


「はいはい、ドーゾ。」


加納さんは手で追っ払うようなしぐさをした。


ジョニー君もバイバイしてる。


「真奈美さんこの後付き合って。僕お腹ペコペコで。はやくここ出たいの。」


葛城は真奈美をエスコートして会場を出ようとしている。


「はい。」


みんなには会釈をした。みんなはニヤニヤして手を振ってくれた。私は足早に葛城の後を追った。

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