パーティ会場到着

6月10日 当日・・・

真奈美は、肩にちょっとだけ袖がかかるノースリーブで ひざが隠れるくらいの丈 スリムで素材の良い黒のワンピースに、斜めに小さめなバックを長めにかけて、頑張ってヒールを履いた。そして、刺繍の少し入ったグレーのストールを片手にパーティに出かけた。


— こんな恰好で大丈夫かな・・・

— こんなヒールも履くの久しぶり・・・

— ころばないようにしないと・・・

— 背筋も伸ばして歩こう、っと・・・



パーティ会場は思っているよりも広かった。大規模だった。


— おじさんが多い。きっと、取引先のお偉いさん・・・

— 本当に私いいのかな?


緊張しながら受付に並んだ。

受付で案内状を見せて、芳名帳に名前を書いた。


受付を済ませ、会場の入口に歩いていくとジョニー君が立っていた。


「真奈美さーん。こっち!! 」


ジョニーは手招きをしてくれた。


「ジョニー君、待っていてくれたの。人が多いからどうしようかと思っていたの。」


ジョニーはニコニコして言った。


「ありがとう。来てくれて! 真奈美さん綺麗!! とっても素敵!! 」


「ジョニー君もカッコイイ。」


— 白いTシャツにピッタリとした濃紺のスーツだけど、スタイルいいからカッコイイ。


「ありがとう。普段スーツなんか着ないから肩凝っちゃう。でも、今日は特別だからね。葛城は今日もっとカッコイイよ。真奈美さんきっと驚くよ!! 」


— 楽しみ・・・どうカッコイイのかな~・・・


ジョニー君が他のみんながいるところに連れて行ってくれた。

加納さんもちょっとなれない? スーツを着ていた。

榊さんは殆どいつもと一緒? のようなTシャツに黒パンツ、カメラマンベストを着て。カメラ片手に会場内を撮影している。

そこに葛城はいなかった。ちょっとキョロキョロしているとジョニーくんがそれに気づいて笑っている。


「今日ね、葛城スピーチしなきゃいけなくてキンチョーしてるの。今どこかな?? ・・・あっ、あそこ。シルバーグレーのスーツ着てるの、見える? 」


ジョニー君が指さして葛城の居場所を教えてくれた。


「えっ? 」


— 葛城さんメガネ掛けてる。髪型もいつもと違って、上げている・・・

— かっこよすぎる。

— 違う人みたい・・・(ドキドキ)


ジョニー君は真奈美の顔を見てニヤニヤしている。


「そろそろ俺たちも出番だから、真奈美さんこの辺りで見ていてね。後ろの方だけどベスポジなんだ。終わったら戻ってくるからね。」


加納はそう真奈美に言って、3人は機材のあるところに行ってしまった。

真奈美は葛城をずっと目で追った。

多くの女性が取り巻いている。近くでも葛城の噂をしているのが聞こえる。


— そうだよね、あれほどかっこよかったら誰もが気になるよね・・・

— この会場の中で一番カッコイイ・・・

— 葛城さん、彼女いるのかな・・・

— いるよね きっと・・・

— でも今日私を呼んでくれた・・・

— どうして???・・・


いきなり不安になった。

でも不安というのもおかしいと真奈美は我に返った。


— 私たちはまだお付き合いもしていない。ただの知り合い・・・

— どうしたらいいんだろう・・・

— ドキドキが止まらない・・・

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