第22話 眞知田佳織③

中間テストの結果は散々だった。テストが返ってきたらどうしようかと考えていたけど、なんとかなった…やれやれだぜって気分ね。

「それにしてもやっぱり私って天才じゃない?…これが持って生まれた女王の気質っていうのかしら」

そう言いながらほくそ笑む。クラスの奴らに赤点をみられた時はどうなる事かと思ったが、丁度土日に九郎が入院したと父さんと母さんが話していたのを思い出して九郎のせいにすることが出来た。これが人の上に立つ人間の才能よね。女の私が先に泣きおどしをかけれてしまえば、多少言う事にアラがあってもそれっぽく見えるから男なんてチョロいものよ。

早織が九郎の見舞いにいったなんて初耳だったけど…それならそうと私に報告するべきでは?妹なのに余計な事して足引っ張るなんて本当に愚妹。姉より優れた妹なんていないから仕方がないけど、今ならわかる…あの妹は私という優れた存在を産みだすための搾りカス、言わばリキッドとソリッドみたいなもので私が優性遺伝子の塊であれはそのカスを集めたくらいの価値しかないのだと。

賢く可愛いカオリーチカの私に比べた妹の雑魚っぷりを思うと笑みがこぼれるが、それはそうとやることはしないととスマホを操作して電話をかける。

「もしもし?私。眞知田よ」

『やぁかおりちゃん。どうしたんだい?』

それはこの間カラオケで知り合ったイケメンモデルの多羅篠だった。

「ちょっとあんたの手を借りたいんだけど」

『僕の?…へぇ、話を聞かせてもらおうか』

そして私は多羅篠に今日あった出来事を説明した。そしてむかつく女を全裸土下座させるために勝ちたい、いや勝たねばならないと。

『あははははっ、すごいな全裸土下座!!マジでそんな事やる流れになるなんて最高すぎるよ、個人的にはそのリナちゃんって子が凄く…美味そうで気になるけど?でも確かにそれは面白そうだ。いいよ、俺の伝手で衣装もメイクも全部手配してあげる』

「そうこなくっちゃ。じゃなきゃ、わざわざ嘘までついて九郎に責任を擦り付けた甲斐がないもの」

「くくく、俺は外道の自覚があるけど君は別の意味で厄介な子だな。」

「あら?だって私の実力が3点や12点しか取れないバカだって言われるのが耐えられないもの。そのためなら使えない九郎に責任を擦り付けるぐらいどうってことないわ。私のプライドは全てに優先する!!クラスの奴らもバカだから私が泣いたらホイホイ騙されてたしやっぱり世界は顔がすべてね。どいつもこいつも頭が足りてないんだから」

そう言って笑っていると、ふーん、と多羅篠が電話の向こうで何やら考え込むそぶりを見せる。 

『それでも毎回そうはいかないからある程度は学力を身に着ける必要はあるんじゃないかな?』

「学力?そんなの、このコンテストで勝った後に九郎に詫びをいれさせてからあとは落とし前として私にみっちり勉強教えさせればいい事よ。なんだったら学校卒業するまでそう言う風に使い潰してやってもいいかもね。九郎も案外喜ぶかもしれないし」

『それはそれは…、君ってのはなんとも恐ろしいねえ。でもいいのかい?色々と言ってるけど、誰かに聞かれたりしたらまずいことにならないかい?』

「大丈夫よ。今は自分の部屋だし、九郎の部屋は明かりがついてないから今日アイツいないし。お父さんもお母さんもいないし」

『そう。それならいいけどね。じゃあ、スタッフの手配はまた追って連絡するよ。そのリナちゃんの全裸土下座はぜひとも録画して送ってほしいところだけど頼めるかい?』

「それぐらい容易い事よ、あの金髪クソビッチが泣いて土下座して許しを請う姿をばっちり録画して送ってやるわ」

『ははははは、それは楽しみだ…そうなればリナちゃんを俺のコレクションに加える事も出来そうだしね。…ああ、本当に楽しみだ。それじゃ、また』

そう言って多羅篠との電話を切る。

あまり深くかかわりたくない人種だが、それでも使える男なのは間違いない。これで私の勝ちは揺るがない。勝利の法則は…決まった!!

これであとは当日を待って生意気でむかつく大垣に土下座をさせることができる。楽しみだ、楽しみすぎて眠れそうもないからちょっと先輩の所に行ってこようっと♪


はやく代表女子コンテスト(せんそう)になぁ~れ!


そう思いながら私は、代表女子コンテストまでの毎日を、先輩とイチャイチャしながら待つのであった。私の人生順風満帆すぎるわ~!

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