第7話 和風イケメンの正体
「えらい目にあったねぇ、寛汰くん」
「はぁ…はい?」
再び突如として現れた和風イケメンにいきなり名前を呼ばれ、俺の口からなんとも間の抜けた声が漏れる。
「彼、寛汰くんの学校の前生徒会長だよ」
「え…あぁっ!」
和風イケメンに言われ、俺はようやく思い出した。
どこかで見覚えがあるはずだ。全体朝礼の時に、俺は何度もあの顔を見ていたのだから。
でも、少し前、交代の時期でもないのに突然、生徒会長が交代した。
理由は公にはされなかったけど、風の噂で体調不良のためだと聞いたような?
もしかして。
フィジカルの方じゃなくて、メンタルの不調だったのか?
うちの学校、校則も厳しいけど、勉強の方も相当頑張らないと、すぐ指導が入るからなぁ・・・・
「まぁ、わたしの後輩でもあるけれどね」
「は?」
「わたしもあの学校の出身なんだよ。だからキミもわたしの後輩だね、寛汰くん。あぁ、元後輩、と言った方がいいかな?」
和風イケメンは、ニコニコと笑って俺を見ている。
今度は、目もちゃんと笑っているように見えた。
けど。
一体誰なんだ、この人?
「時に寛汰くん。キミは悔しくないのかな?誤解されたまま停学になって、そのまま学校を辞めるなんて」
「はぁっ?!」
つーか、マジ怖いっ!
なんでそんなことまで知ってんだよっ?!
「わたしはね、こう見えても愛校心が強くてね。母校に人を陥れるような不届き者がいる事が許せないんだよ。これでも元警察関係者だからね」
「…元?」
「うん。実は、少し前に死んでしまってね」
まるで、「さっきそこで転んでしまってね」とでも言うような口調でとんでもない事を言いだす和風イケメンに、俺は少しだけ距離を取った。
いや、取ろうとした。
だけど、体が全く動かない。
「しかし、全く似合っていないねぇ、その金髪。早く元に戻した方がいいと思うよ?それから、もしキミが勇気を持って誤解を解く覚悟で臨むのなら、わたしも多少は力になろう。ではね、寛汰くん」
そう言うと、和風イケメンの体が少しずつ透け始める。
俺は慌てて、和風イケメンに声を掛けた。
「あっ、あのっ!名前はっ?!」
「わたしの名前は、レイだ」
「…幽霊だけに…」
「礼儀の礼だ」
半透明になったレイの片手が俺に向かって突き出されたものの、その手はあっさり俺の体を突き抜ける。
「へへっ、残念でした~っ!…いてっ!」
ニヤリと笑ったとたん、頭上から落下した小枝が俺の頭を直撃した。
「ひでぇっ、暴力反対っ!」
「ふふっ、騒ぐとキミがおかしな目で見られるだけだと思うよ?」
ふと周りを見ると。
気づけば俺は通りがかった人の冷たい視線に晒されていて。
レイの姿はもう、どこにもなかった。
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