第8話 停学撤回
家に帰った俺は、両親と相談のうえで、学校側に再調査の依頼をすることに決めた。
別に停学でも退学でも構わないけれども、確かに、レイの言う通り、誤解されたままじゃ悔しすぎるから。
とは言え、学校側から見たら、俺は既に退学した生徒。
門前払いを食らうかと思っていたが、驚くことに、もう一度学校側に話をしてみようと決めたとたんに、学校側からうちに連絡があったのだ。
是非、俺の話を詳しく聞かせて欲しいと。
校長、担任との面談を終え、安堵する両親に先に帰るよう伝えて俺は、再び美容室へと向かい、パーマを落として髪色を黒く染め直した。
俺の誤解は無事解かれたのだ。
俺を陥れたアイツは、逆に停学1か月となるらしい。
アイツには今頃、連絡が入っているだろう。
アイツはどうするのだろうか。
停学を受け入れて、1か月後にぬけぬけと通学してくるのだろうか。
だとしたら、その時。
俺にどんな顔を向けるつもりなのだろう?
鏡の中には、見慣れた自分の姿。
レイの言う通り、俺にはパツキンウェービー頭なんて、全く似合ってなんかいなかった。
初めて校長室に入った俺は、そこでレイの写真を見る事になった。
レイは、うちの学校の卒業生の中でも極めて優秀な生徒であり、卒業後もたまに学校側から依頼をして学校関連の行事に顔を出して貰っていたらしい。
俺も何度か見ているはずなのだけれども、学校関連行事に来る関係者なんて山ほどいるんだ、よっぽどの事でもない限り、記憶になんて残らない。
今の校長は、当時のレイの担任だったそうで、卒業後もかなり懇意にしていたとのこと。
帰りがけ。
聞きもしないのに、校長は俺だけに聞こえる声でこんな事を言っていた。
「昨晩レイくんが私の夢枕に立ってね。寛汰くんのような真面目で優秀な生徒を退学させては末代までの恥になるだろうと言ったんだよ。私もモウロクしたのかな。寛汰くんの言い分をまともに聞きもせずに処分を下してしまったこと、本当に申し訳なかった」
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