第9話 魔王軍四天王・ラミアとの戦い
魔王城を先に進む轟と一撃會館門弟たち。
しかし、轟たちの前方に突如、胴体は蛇の美女が現れる。
「みんな気を付けて、彼女はラミアだ。若い男性は誘惑されると食べられちゃうよ!」
元四天王のキールが注意を促し、一撃會館の門弟たちは手の甲にナイフを刺したり、お互いに正拳突きを打ちあったりして、ラミアの誘惑を断ち切る。
「おい、おめぇら! この程度でそんな大騒ぎしていたら、五反田の有楽街とか歩けねぇぞ!」
「五反田? 有楽街? 館長は時々、よくわからないことを言うな……」
門弟たちと違い、轟は平然とラミアの元へ歩いていく。
「お前はどうして私の誘惑が効かない?」
「あ? あんたみたいな姉ちゃんは、俺の世界では夜の繁華街によくいたよ。だから、お前程度の呼び込みなんてこちとら普通よ!」
「呼び込みだと? ちなみに私が勝ったらあんたの弟子の中で若い男をいただくけどいいかい?」
「じゃあ、おめぇが負けたらどうするよ?」
「館長、ラミアが負けたらいつものお尻へのお仕置きにして!」
「なんだキール、おめぇは本当に悪ガキだな!」
轟はキールの頭をなでなでする。
館長は空手キッズにはあまいのであった。
「ちょっと待て! そのお尻へのお仕置きとはなんだ?」
「うるせぇ! 試合開始だ! 試合が始まったら勝負に集中しろ!」
轟はいきなりラミアに回し蹴りを喰らわせ、ラミアは数メートル後ろまで後退する。
(な、なんなのこの蹴り? 鉄の塊を打ち込まれたような硬さと重さだわ……)
「おいおい、四天王がその程度か? そんなんじゃケツは守れねぇぞ!」
「待ちなさい! ケツって、何をする気なの?」
「うるせぇ! 試合に集中しろい!」
轟は今度は正拳突きの連打でラミアを吹っ飛ばす。
「おいおい姉ちゃん、いいところなしじゃねぇか?」
(だ、ダメだ、もし負けたらこんなオッサンにとんでもないことされるかと思ったら、勝負に集中できない……)
ラミアはかつてない恐怖に襲われていた。
轟の鉄のような拳、そしてキールが言ったお尻へのお仕置き、ラミアはとてつもない恐怖心に飲み込まれそうになり、体が動かなくなっていた。
「うちの若い弟子じゃなくても、俺が相手してやってもいいんだぞ! 俺は選り好みしねぇからな、ガハハハ」
「や、やめろ! お前は鬼畜か!」
ラミアは恐怖心から轟の言う軽いジョークすら、恐怖の言葉に感じるのであった。
「じゃあ、これで終わりだ!」
轟はラミアの腹部に突きを放つと、ラミアはそのまま前に倒れて気を失った。
「……。私はやられていたのか? ここは?」
ラミアが目を覚ますと、ラミアは轟の膝の上に乗せられており、轟の弟子たちが逃げられないように胴体を押さえている。
「うわ! や、やめろ! お前、本当に勇者か? もし、そんなことをしたら、魔王以上の外道だぞ!」
「うるせぇ! おめぇは負けたんだから潔くしろ! 直ぐに終わらせてやるよ!」
「お、お願いやめて! あんたみたいなオッサンだけは本当に嫌なの!」
「バカ野郎、お仕置きにオッサンも若い兄ちゃんもあるか! 何発かやったら許してやるよ!」
「何発? 一発でやめなさいよ! いや、一発でも駄目よ! やめなさい!」
必死に抵抗するラミアであったが、轟がお仕置きのお尻たたきの一発を入れると、インキュバスのトニーの時同様に違う痛みと勘違いしたらしく、泡を吹いて気絶した。
「いったい何なんだ? この世界の奴らはお尻たたきがそんなに苦痛なのか?」
轟は魔王軍四天王たちがたかだかお尻たたきで気絶することに驚いていたが、何と勘違いしているかわかるキールだけはお腹を抱えて笑い転げているのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます