第3話

楽しい時間ほどあっという間に過ぎていく。みんなが待ちに待っていたお昼ご飯。僕は心のなかでそっと呟いた。みんなありがとう。あゆみ先生ありがとう。だいくん最後に優しくしてくれてありがとう。直接お礼が言えなくてごめんね。

見付からないように足音を忍ばせ、そぉーとばら組さんから出ようとした。でも、

「りく、どこにいくんだ?」

だいくんに見つかってしまった。

「おしっこ」

いつものようにえへへと笑って答えた。

「どうせきょうもおべんとうをつくってもらえなかったんだろう。きのうからなんにもたべていないんだろう。ぼくのおべんとうやるから、たべろ。ほら、おにぎりもあるぞ。かあさんにたのんでいっぱいつくってもらったんだ」

「なんで?ぼくのことがきらいなのに、なんで?」

「きらいだっていったこといちどもないよ。りく、はやくたべないとじかん、ないんだろう」

やっぱりだいくんには死神さんが見えていた。

椅子に座ると、だいくんがお弁当箱の蓋を開けてくれて、お握りをひとつポケットにそっと入れてくれた。

「ばあちゃんがなくなったとき、りくのうしろにいるヤンキーのおにいちゃんが、じいちゃんをつれてばあちゃんをむかえにきてくれたんだ。ゆめのなかにばあちゃんがでてきて、りくがきょうがさいごのひだからうんとやさしくしてあげて。いじめちゃだめ。そういわれたんだ。なんのことかわからなかったこど、ヤンキーのおにいちゃんがりくといて、やっとわかった」

「だいくんありがとう。ぼく……ぼくね」

ぼろぼろと涙を流していたら、口の中にウィンナーを入れられた。


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