第2話
「おぃ、なに突っ立ってんだ」
「あれ?なんで?」
「なんでって……お前のことが心配でついてきたんだよ」
「しにがみさん、ありがとう」
クラスのお友だちが僕のことを忘れているんじゃないか、心配でクラスに入れないでいたら、死神さんに大丈夫だ。胸張っていけ。男だろ。背中を押された。
おっかなびっくり、そぉーとクラスに入ったら、おはようりくくん。先に登園していたばら組のお友だちが駆け寄ってきてくれたから、僕の方が驚いてしまった。
「たいいんできたの?」
「よかったね、またあそべるね」
「ごめんね、きょうだけなんだ」
「そっか、ざんねん」
「はやくよくなってね。またいっしょにあそぼう」
「うん。あそぼう」
朝のお集まりのとき、担任のあゆみ先生が今日は卒園アルバムの写真撮影の日だから、特別にお医者さんから外出の許可が下りました。クラスのみんなにそう説明してくれた。
なんで入院していることになってるのか、僕には難し過ぎていまいち理解することが出来なかった。
写真撮影を終えたクラスから、遊び着に着替えて、園庭で元気いっぱい遊びはじめた。僕もキックボードを足で蹴ったり、かけっこしたり、砂場で遊んだり、お友達といっぱい遊んだ。
「りく、かしてやる」
「だいくん、え?いいの?」
「そでぬれてる。まくってやる」
「あ、ありがとう」
だいくんは体も力もクラスで一番大きい。いつも僕に嫌だなって思うことばかりしてくるいじめっ子だ。
それなのに……。
使っていたスコップをすぐに貸してくれた。いつもと違って僕にとても優しくしてくれた。
僕は気づかなかったけど、だいくんはちらちらとしきりに僕の後ろを見ていた。お友だちに見えないはずの死神さんがだいくんには見えていたかも知れない。
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