第4話 ほんと凄いのねあなたの魔素って

「じゃあ、またあとでね。雪人君」

「……はい、またあとで」


 微笑みながら、今にも高級そうな車に乗ってリリシアさんがどこかへ行ってしまう。


 四賢人の一人とか言っていたし、忙しいのだろう。


 それにしても…疲れた。


 見た目は、長くて艶やかな白髪、凛々しく美人な顔立ち、スタイルも良く、吸血種なのだろう尖った八重歯が可愛く、服は黒いドレスを着ていて、世界一、二位を争うくらいの幻想的な女性なのに……なんかなぁ。台無しだ。


「旦那様、いい加減教室へ急がないと初日から浮いてしまいますよ」

「もうかなり浮いている気がするけれど…。…急ぐに越したことはないか」


 そうして、一緒に走り出す。


 隣を走る彼女もまた、リリシアさんの血を受け継いでとても綺麗な子だ。茶髪のロング。胸はリリシアさんには劣るがかなり大きい。背は女性の一般身長より十センチ高いくらいだろうか。

 

 亜人の子は普通、青年期が終わるまでに完全にその種族の特徴が出て、出る時期は人それぞれらしい。ハーフの子はどちらか片方の種族の特徴が出るらしい。


 四辻さんは吸血種と鬼種のハーフでまだどっちにカテゴライズされるか決まっていないみたいだ。


「ふふっ、旦那様。そんなに私の顔を見つめてどうしたのですか?私は一向に構いませんのでどうぞお好きに見てくださいっても、触ってくれても構いませんが。…今は急ぎましょう」

「そうだね」

 

 そうして、自分たちのクラスを確認し、運命か将又仕組まれたのか僕たちは同じクラスだった。


「やっぱり、私たちは運命で結ばれていたのですね」

「…。……そうだね」


 階段を上り一年A組までたどり着き、教室に入る。一気にこちらに視線が移り、こそこそと話し声が聞こえる。あと、何故か制服ではなく和服の少女がこれが普通だと思わせるように堂々と座っていた。


「お話は聞いていますので、席についてください。細さん、雪人さん」

「分かりました」


 席に着くと、当然のように隣には四辻さんが座っていて、少し呆れてしまう。これ、絶対仕組まれているでしょ。


「ちょうど自己紹介をしているところですので次は雪人さんで」

「あ、分かりました。えっと…左京雪人です。知っている方も知るかもしれませんが、僕の体質は特殊なので近づきたくない人もいるかもしれませんが、仲良くしてくれると嬉しいです。お願いします」


 誰も反応してくれないんじゃないかと思ったが、パチパチと予想以上に拍手をもらって一安心する。


「じゃあ、次、四辻さん」

「はい。四辻細です。よろしくお願いします。あと、隣にいる旦那様……左京雪人さんとは将来を誓い合った仲ですので、取ろうとする人は容赦なく……」


 そこでにっこりと笑う。すごく怖い、だって目が本気だし。


 それと、何普通に爆弾放り込んでるの?


「じゃあ、次は、西院さん」


 そう名前を呼ばれた少女は、例の和服の子だ。


 黒と赤を基調とした和服を着ていて、髪は黒のロング、胸は普通くらいでスタイルも良い。

 

 ……この学校美少女多くないか?


西院さいいん夜華と言います。以後お見知りおきを。それと………左京雪人さん」


 席を立ちこちらに軽やかに歩いきて、僕の目の前で立ち止まり、一度上から下まで見て、目をじっとのぞき込む。


「……ほんとにすごいのね。あなたの魔素って」


 そう言い、僕の頬にそっと手を添えて………頬にそっとキスをされた。


………………え?キスをされた?

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