第2話 三部隊と旦那様!!
「セリア、じゃあ何かあったら頼むよ」
「お任せください、主様」
ペコリとお辞儀をしてさっと一瞬で消えるセリア。流石と言ったところだろう。
「んーっ!!」
久しぶりに外に出たからか、伸びをすると何だかすごく気持ちがいい。
「さてと、行きますか」
今日から、僕も高校生かぁ。そんな自覚は正直言うとない。何せ、丸一年眠っていたし、起きたら起きたで騒ぎになって軟禁されるし。
「それにしても、やっぱりかぁ」
道行く人の視線が僕に集まる。しょうがないんだろうけれどやっぱり気になってしまうので足早に高校へと向かう。
向かうにつれて、同じ制服を着ている学生が多くなる。それと、同時に周囲も少しだけ騒がしくなる。
「えっと、そこの君?君が左京くん?」
「そうですけれど…」
「わぁ、やっぱり」
知らない亜人の子から話しかけられる。若干目がトロンとしかけている。
「少しだけ、匂いを嗅がせてくれないかな?ちょっとだけで良いの」
「ちょっ、止めてください」
強引に近づこうとしたタイミングで…
「これ以上近づくのは、許しません」
「きゃっ…」
どこからかいきなり現れたセリアが首根っこを掴んでその子を強引に引き離す。
「主様に無理やり近づこうとしたり、ましてや行為に及ぼうとすれば、法を破ることになります。」
「それは…」
「今回は見逃しますが、次はありません。いいですか?」
「はい」
とぼとぼと帰る子をみて若干だけれど胸が痛む。
「あのさ、もうちょっと優しく言えなかった?」
「はぁ。……主様。もう少し危機感をお持ちください」
「…え?」
セリアが念話に切り替え、こういってくる。
『三部隊です』
『なんの数字?』
『登校中、主様を狙っていた種族の部隊数です』
『え!?まじ?』
『マジです。ですので本当に危機感をお持ちください』
『はい、すいません』
セリアにまともに怒られてしまった。あのセリアに。
『聞こえていますからね。主様。…それと、デレデレしすぎだと思います』
『何が?』
『さっき、言い寄られていた時、デレデレしていましたよね?』
『してない。断じてしていない』
『ふーん、そうですか』
明らかに納得していない様子でまたどこかに消えるセリア。
はぁ……拗ねたら、かなりめんどくさいし、学校帰りにプリンとか買って帰るか。それと、お風呂入ったらドライヤーとかもしてあげないとな。
『やった。主様、大好きです』
『早く、仕事に戻りなさい』
『はーい』
念話を一時的に解除して、歩いてやっと学校の正門まで来た。無駄に大きくて少し萎縮してしまう。
僕が入学することになった高校はかなりの名門で、セキュリティも他の高校よりは安心なため、助けた子の親がお礼だと言ってこの高校にコネを使って入学させてくれたらしい。
実際会ってないから、母さんに聞いただけだけれど—っっ。
「旦那様、お待ちしておりました」
「ちょ、えっ—」
後ろからぎゅっと抱きしめられる。かなり強い抱擁で少し苦しい。
「大好きです、大好きです、大好きです、大好きです、大好きです、大好きです、大好きです、大好きです、大好きです、大好き、大好き、大好き、愛しています、愛しています、愛しています」
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