魔族の血に適応した初めての人間なった
@nakuka101511
第1話 登校
「おはようございます、主様」
「ん、あぁ、おはよう。…セリア、僕のことは起こさなくてもいいって言ってるのに」
「すいません、私、もの覚えが悪い欠陥品ですので。…主様が躾けてくださいませんか」
胸をちらっと見せてこちらを朝から誘惑してくるセリアに少々溜息が出る。
「そもそも、お前は欠陥品どころか………」
言う寸前で止まる。
「ちょっと何を言っているか分かりません。どこか悪い見たいです。体をじっくり弄ってくれると良いかもしれません」
「この痴女め」
「いやぁん。やめてください、主様」
少し近づきすぎなので押し返しただけで、すぐ喘ぐのだからどうしようもない。
頬を染め、若干腰をくねらせているセリアをじっと見る。
セリア、年齢不詳。オートマタ―種の見た目は少女。
オートマタ―種。
200年前、亜人と人類の戦争があった。どちらも一歩も引かず戦いは長く続き、大戦時中期、人類側が亜人の力に対抗するべくして、人間を被検体にして作られた生命体。だから元は人間なのだ。なのに、オートマタ―種—機械人形って、かなりの皮肉だと思う。
そして、今となっては、蔑みの対象になってはいるっていうのがお約束だが……畏怖や憐みの目で見られることが大半だ。その理由は、人よりはるかに発達した力、能力。それに実験体にされたほとんどは子供だったそうだ。小さい頃からの刷り込み、体の動かし方、適応力など、成長しきってしまった大人よりいろんな面で都合がよかったようだ。
そして、目の前にいるセリアは、オートマタ―種の中でも最高傑作と言って良いほどの性能を持っているが………セリアの事は普通の人として見ているのでさっきは言い淀んでしまったと言う訳だ。
そのセリアに主様とか言われている俺の名前は
頭は平凡『どこが平凡ですか、かなり頭が良いくせに』見た目は普通『私にとっては世界一です』、それに運動能力は平均以下『最近、筋トレとかランニングマシーンとか使って基礎体力させているので十分平均以上です』
………「なぁ、俺の考えていることを勝手に読まないでくれるか?念話の機能を切るぞ?」
「あぁ、申し訳ありません。もうたぶんしませんので、切らないでくださいー」
セリアの機能の全権利を持っているので、容赦なく今は一時的に機能を停止させる。
まぁ、そんな一般人の僕がなぜ従者をつけているかと言うと、ひとえに僕の体質にあった。
あれは中学生のころ、亜人の女の子が車に引かれそうになったのを庇ったその時だ。
その子の血が結構体内に入り込んでしまったのだ。普通の人が亜人の血が入り込むと熱でうなされたり、どこかの機能が壊死してしまうとか、最悪死んでしまう。
普通、未成熟の亜人の子供や、魔素量が少ない種族なら軽傷で済むのだが、助けたその子はまだ成熟しきってないとはいえ、吸血種と鬼種のハーフと言うかなり上位の種だったため、病院に運ばれ、ギリギリで命を取り留めたが正直いつ死んでもおかしくない状況が半年くらい続いたそうだ。
そして事故から一年くらいたったある日、何の気なく、パチンと目を開けると看護師が驚いて、急いで医師に伝えに行ったのを今でも覚えている。
そこで亜人の女性の医師が来た時、その女性はいきなり、僕に近づき抱き着き始めたのだ。
一時騒動になり人間医師に診断してもらうが、車で引かれたときの傷以外何ともなく、しばらく車いす、それからリハビリとの診断を受けた。
だが、そこでやはり騒動は終わらず、何故か亜人全般に好かれるようになっていたのだ。特に顕著なのは女性で、目がトロンとしていて、無理やり抱き着かれたり、襲われたりするので、緊急で亜人サイドの各種族のトップが集まり、会議を開いた結果、僕を保護することになった。
何故、僕がそんな事になったかと言うと助けた子の血が体に適応して、その魔素がどうやら亜人の人達には毒と言うか、麻薬というか、一種ドーピングのようなものらしい。僕が周りにいるだけで興奮して、性的に襲ったり、抱きついたりしてくるのだから本当なのだろう。
その魔素を直接摂取すると、その人の魔素を著しく上げ、機能を向上させるみたいだ。よく分からないが。こんなことになったのは長い歴史で初めての事らしい。
そのせいか、世が混乱をしないために僕は今日まで外に出ることはおろか軽い軟禁状態だった。
それも今日で終わりで、亜人側のトップの人たち。……確か四賢人だっけ?が人類側と条約を結んだり、亜人側で盟約を結んだりするのが、やっと終わって、晴れて外に出られて、高校生としてデビューだ。
「もぅ、主様、いい加減戻してください。主様とまた繋がりたいです」
「言い方……はぁ。…分かったよ」
「ありがとうございます!」
ほんとにこいつは。まぁ、実際便利だから繫いでおいた方がいいんだけれど。もし万が一の時役立つし。
「主様、それと」
「何?」
「そろそろ学校の準備に取り掛かった方がいいのではないでしょうか?今日が初めての高校に行く日なので遅れたらまずいのでは?」
「そう言う事はもっと早く言いなさい!」
「すいません、主様に相手にしてもらえるのが嬉しくってついうっかりしてました」
可愛く舌を出すセリアに苦笑して準備に取り掛かった。
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