第5話 「甘えん坊になった彼女」
「完成したよ、鳥の丸焼きだ。」
鳥の丸焼きだと⁉そんなもの食べたことなかったから食べてみたかったんだ。
「そろそろ目覚めるころだろう。」
やっとか、久しぶりに声を聞くような。
「あ、あれ?ここは…どこなの?」
やっと目が覚めたか、お前を一人で行かせたことをまだ謝っていなかったな。すまなかった全ては俺が悪かった。
「ぐすっ、ずっどひどりでさびじかったんだよ?」
だ、だよね~。そんなことは最初から分かっていたさ。
「私を抱きしめてくれたら許すよ。」
「え⁉」
こいつは突然どうしたんだ!
「ソレイマヌ君、キミはあの薬に何を入れたのです?」
え?何か怪しいものでも入れたのか?
「いや僕は何もしていない。恐らくだけど薬の
なんだなんだ二人してどこに行きやがった。とりあえず彼女の要望通り抱きしめてあげるか。
「この感じ、なんだかなつかしい。じゃあ次は膝枕をして。」
まだ要望があったのか!ま、まあいい俺が悪いんだすべて従おう。
「ありがと……すぅ~。」
また寝た!
「何かわかったかい?」
「ええ確かにあなたが作ったのは万能薬です。ですがここにはなぜか万能薬があります。貴方が使ったのは甘えん坊になる薬ですよ、色が似てるから間違えやすいんですがね。」
「この僕が間違えただと?」
間違いは誰にでもあることです。私だっていろいろと間違えました、ですからあまり気にする必要はないと思います。
「さて彼に詳細を伝えるかそれとも薬の名前だけ言うか。」
「薬の名前だけでいいと思いますよ。へたに詳細を伝えると余計にややこしくなりますからね。」
「とりあえずは名前だけ言っとこう。」
あ二人とも戻ってきたぞ。ずっと何をしてたんだ?
「彼女がああなった理由が分かりました。キミが彼女に投与した薬は、永久甘えん坊化薬です!」
え、永久…だと?おいおい博士が作ったのはその薬なのか?
「いや作ったのは万能薬だ。だが色が似ていてね見間違ってしまったのさ。」
なるほど。で、俺に渡されたのがその薬ということね。これに関しては仕方ないと思う。結局のところ打ったのは俺だからね。
「彼女は…君のところで寝てるのか。僕とこいつで特効薬があるか調べるから今日は休みたまえ。」
そうさせてもらう。へたに離れるとまた泣きついてきそうだからな。
ふむ彼女を治す薬を調べないといけないようですね。今夜は寝れそうにないや。
「とりあえずお前は主成分を調べておいて。」
さてどんな物質が使われているのか。
ん?こ、これは!まさか禁忌の魔薬だ!
「そうしたんだそんなに焦って。何かわかったのか?」
ええ分かりました。これは現代には存在しないはずの禁忌の魔法薬が使われていたのです!
「困ったな、普通の治療法じゃ無理だぞ。治療法はただ一つ、この大陸の中央に位置する古代遺跡の最深部まで行かないと材料が取れない。」
なら話は早い、私がアユモ君たちと一緒に取りに行けばよい話だろう?
「それができたら話は早いんだよ。まず古代遺跡に入るためにはこの大陸中に潜む三体の魔獣を倒さなくてはいけないんだ。」
なかなかに難しいな。ほかに方法はないのですか?
「だが僕は古代遺跡に入るためのカギを持っている。これならすぐに向かえるだろう。」
では今夜は休んで明日出発するとします。
「キミたち起きてください。彼女を治す方法が分かりました。さっそく向かいましょう!」
ほんとうか⁉よし今すぐ
「帆奈君も起きてください、さっそくで申し訳ないがこれから出かけるのですよ。」
(ふむやはり帆奈君はアユモ君のそばに行く。だが本当に甘えん坊にだけなるのなら近づくのはおかしい。まさか精神年齢までもさげるということですか。)
「ちょ、着替えるから少しばかり離れてくれ。」
ほんの少しだけ離れてくれたがまあこれで着替えやすくはなった。よしこれで準備オーケーだ。
「どうやら支度できたようですね、ならここから離れますよ。一つだけ話しておくとしましょう。私たちは乗り物には乗れない、それだけはわかっていてください。」
ということは徒歩か。結構きついな、だがトレーニングだと思えば何の問題もない…といいたいとこだが帆奈が途中でわがまま言わないかが心配だ。
(そのことを考えていなかった。けど私たちが通るところは町がたくさんありますから大丈夫でしょう。そう焦る必要もない)
「ねえ歩藻~わたしたちこれからどこにむかうの?」
それは俺には分からん、諷霊斬に聞いてくれ。
「これから向かうところはこの大陸の中央にある古代遺跡ですよ」
古代遺跡とかRPGみたいじゃん!わくわくしてきた。
(やはり彼らが話していることはこの世界では聞かないものばかり私もこの目で見てみたいものです)
「さっそくですがあなたたちの戦う道具を買わなくてはいけませんね。」
そういえば持っていなかったな。ん?なんかアラームみたいなのが鳴ってる。この前渡された通信機か。
「いま君たちがどこにいるかは知らないが、武器ならもうアユモ君の服に入れてあるよ。だからムダ金はしなくていいよ」
やっぱりソレイマヌ博士は仕事が早い、一体どんなものが入ってるのだろう。
両剣と弓矢…それと槍と爆弾。最後はめちゃ恐ろしいもんがはいってるがなかなかにいものばかりじゃないか!
「やはり彼は仕事が早いようですね。これで私の貴重な資金を使わなくて済みます。」
「あは、何か面白いのがある。これバクダン?」
お、おいあんま触らない方が…
ドカーン‼
「きゃはは、二人とも真っ黒。」
「アユモ君、ちゃんと見ておいてくださいね。」
(見た目はアユモ君と同じなのに精神だけは完全に子供になってしまっている。やはり厄介だ)
すまない次からは気を付けるよ。
全くなんかやんちゃな子供になってないか?
「キミたちはとんでもなく危険なようですね。街に入ったらちゃんと見ていてくださいね。はぐれたら大変ですよ。」
わかったよ、まあ迷子になってしまっては面倒になってしまうからね。
「もうすぐです。とりあえず落ち着かせるために甘いものでも買っておきましょう。」
ああそうだな、そうすれば帆奈も喜んでくれるだろう。
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