第2話 「投薬されたのはただの戦闘狂化薬」

「よし、ナルシフバルス国に帰るぞ。」

 あれ?カバンの中に試薬がある。これが心だけを壊す薬じゃねぇか!

 あの野郎、間違えやがったな。じゃあワイが彼女に入れた試薬は戦闘狂化薬バトルラヴァーメディシンだ。


 どうしようかきっと今頃彼女は目覚めてるはずだ。きっと彼女は…うう考えただけで寒気がする。まあいいかそんなことよりも上司に報告しなければ。


 お、おい頼むから目覚めてくれ!

「う、う~んここは?」

 やっと目覚めた。とりあえずうは一安心ひとあんしんだ。

「あ、歩藻…なの?」

 ああ俺以外がここにいるわけないだろ。まったく心配させやがって。


「あの、ちょっと来てもらってもいい?」

 うんいいよ、君の頼みなら聞くよ。

「言うの恥ずかしいんだけど私、外にいる魔物と戦ってみたい。」

 え?武器なしでどうやって戦うんだ。


「大丈夫、あいつに捕まる前にやつのポケットから武器を奪っておいたんだ。」


 こいつスリの技術だけは前から上手だったもんな。しかしあの諷霊斬ぶうれいざんとかいうやつ結構いい武器持ってんな。さすがは高地位を持ってるだけあるな。

「よし、外に出よう。お前がいてくれるなら俺はなんともならないだろう。」

 本当にこいつどうしちまったんだ?

 突然戦いたいなんて恐ろしいことも言うもんなのかな。


「ここに出口があるよ。」

 おおこんなところに出口なんてあるもんなんだな。でもこれはやつらが作ったところじゃないのか?

 やっと外の空気が吸える。なんか魔物の数減ってないか?


「生き残りの魔物もいるはずよ。とりあえず探しましょ。」

 あ、あそこで魔物をズカズカと倒してる人がいる。話しかけてみるか。


「おや、ここらでは見ない顔だね。そうだ突然で申し訳ないけどこの辺りの魔物を倒すの手伝ってくれる?」

 わかった、その依頼受けようじゃないか。


「帆奈、行こうか」

 おい大量の魔物がいたぞ!

 頼んだぞ帆奈、俺もできるだけ頑張ってみるわ。

「あああ戦い最高!ずっと戦っていたい‼」


 え、ええええこいつどうしちまったんだ。めっちゃ狂ってやがる。頭がおかしくなっちまったのかな、まさかあの薬のせいか?

 あれは心を壊す薬じゃなくて戦闘狂バトルジャンキーになる薬か。まずはこいつを戦闘から避けた方がいいな。


「もう終わってしまったの?まだまだ遊び足りないな…」

 一旦報告いったんほうこくだけしに行くか。

「え?もう終わったの?君たち早いね。じゃあ次は僕の住んでる村に来てもらおうかな。おっとそんなに警戒しなくても僕は君たちに危害を加えたりしないよ」


 よかったでもどこに行くんだろうか。

「西エレラネブーの宿営地だ。君たちはこのパラダゲグル大陸の人じゃないもんね。ねえ君たちはどこから来たの?」


「俺たちは結構遠くの方から来た。」

 だがどう説明すればいいかはわからない。こいつについていけばいいんだな。

「僕は生物についての研究をしてるんだ。そして僕はこの世界以外にも生物は存在すると考えていたんだ。そして実際に存在した。これは証明として使えるんだ、だけど君たちを実験しようとは考えていない。とても貴重なものだからね」


 人体実験されるのかと思ったぜ。しかしここにも学者とかいるんだな、いてもおかしくはないか。ここは俺がいた所よりも発展している。

 ただここが特殊すぎるのかな魔物しかいない。


「お前の行くところはどこなんだ?あとあんたの名前を聞いていなかったな。」


「僕はソレイマヌ・デル・ランボヴィルだ。ソレイマヌと呼んでくれていいよ。」

「俺は本多歩藻ほんだあゆもだ。」


「ホンダアユモっていうのか。やはり名前も珍しい。となりの子は誰だい?」


「私、帆奈はんなっていいます。」

「ふむこの二人は僕の研究の証明者だね。これからは仲良くやっていこう。しかし君たち体がボロボロじゃないか。なにかあったのかい?」

 話せば長くなるが…。


「君たちはそのビーカユパ軍の第一派遣隊の隊長の策にかかったと。あそこの国はちょっと頭のおかしい人が集まっているところだからね。僕たちが向かうところはナルシフバルス領のところなんだ。」

 な、なんだって⁉


 でもそこに行っても捕まったりしないよな?

「大丈夫、万が一君たちが捕まりそうだったら僕の権限で止めるよ。」

 権限で止めるってどういうことだ?

 まさかソレイマヌもめっちゃくらいが高いってことかな。


「いやいや僕はただの研究員に過ぎないよ。ただその権限の奴をハッキングしたんだ。結構セキュリティがガバガバだったよ。」

 ハッキングできる時点でただものじゃないということがわかる。

「さあ着いたよ。ここが僕の住んでる西エレラネブーの宿営地しゅくえいちだよ」


 うわあ、すっげえ広いぞ!

 ここはただの宿営地じゃなさそうだ。

「おや研究長おかえり。おや、この二人は誰だい?」

 不思議なものを見る目で見られている。ここの人たちって怖いのかな?

「この二人はこの世界の人たちじゃないよ。今日はとてもいい日だなって思ったよ。」


「あらぁよく見たら体格が違うわねえ。うんうんこれだけでよそ者だってわかるよ。しかし研究長もすごい発見だわねぇ。」

 このお姉さんはテンションが高いな。なかなか高度な話にはついてけないよ。

「さあ雑談はよして研究室へ向かおう。もう少しだからね」


「ここが僕の研究室だよ。」

 高い建物だな。いったい何百メートルあるんだろうか?

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