本多歩藻は異世界でも最弱

宵崎楓介

第一章 最弱の歩藻?

第1話 「な、なんだここは」

(ホンマお前はゲームも成績も運動神経もゴミだよな)

 俺はいつも周りからののしられる。事実なんだけど毎日言われてくるとさすがに死にたくなる。

 こんな生活はもう嫌だ。でも勉強しても意味がないからな。

歩藻あゆも、よっす。」


「お、帆奈はんなやんおはよう」

 俺の女友達の帆奈だ。こいつが俺の心のいやしなんだよな。

「一緒に学校に行こう。」

 また憂鬱な一日が始ま…る。ん?なんだここは!さっきまで北海道にいたよな⁉


「なあ歩藻、ここはどこなんだ?」

 そんなこと俺に言われてもわからんわ。しかもここだいぶ荒地あれちじゃねぇか!

 しかも目の前はとんでもない魔物ばかりだ。俺たちは地獄にでもきたのか⁉


「歩藻、武器とか持ってんの?」

 武器なんかあるわけないだろ。でもこうなったら俺たちは逃げるしかない!

 別世界でも俺は弱いのか⁉いや、そんなはずはない。俺だって武器さえ持ってりゃ最強になれる。


 ダメだどこに逃げても魔物だらけ、人が俺たち以外誰もいない!

 俺らはここで死ぬのか?

 ここで死んでしまったらなんのために人生をやり直したのか分からなくなってしまう…


「おい歩藻!前に隠れれそうな洞穴ほらあながあるぞ!」


 よく見つけてくれた、今すぐそこに隠れよう。

 ふう、危うく死んでしまうところだった。しかしこんなところに隠れていても匂いとかでバレないのか?


「私はこの中を探索してみるから外の様子はきみに任せた。」

 なんで俺が外の見回り?ま、まあいいか。ついでに物資でも集めとくか…

 とは言ったもののそこらへんには枝しか落ちてないな。

 暇だしなんか落書きでもするか。いや俺はそんなに絵が上手いわけじゃないしもしここを通り過ぎる人に見られたら恥ずかしいしやめとくか。


「ん?何かが近づいてきてる。」

 ザッザッと砂を踏みながらこちらに向かってきてる。

 そして立ち止まった。

「おや?こんなところに人がいるなんて珍しいね。一体どこから彷徨さまよってきたの?」


「突然ここに飛ばされたんだ。しかも辺りは変な魔物ばかりで。」

「ああここの雑魚たちのことだね。でも見るからに君たち武器を持ってなさそうだね。」

 持ってないから困ってるんだ。何かくれたりしないのかな?

 そういえば名前を聞いてなかったな。


「なああんたの名前はなんていうんだ?」

「ん?ワイは諷霊斬ぶうれいざんだ。」

 諷霊斬っていうのか、すごい名前だな。


「俺は本多歩藻だ。よろしく。」

「ホンダアユモ?へえここの世界では珍しい名前だな。」

 え?俺の名前が珍しいってか?

 普通にどこにでもいるような名前なんだがな…


「とにかくだ君たちはここを離れた方がいい。」

 どっかに人里でもあるのか?

「ではまた会おう。心配するなどうせまた会える。フフフフ。」

 なんなんだこいつ変な笑い方しやがって。


 そういえばあいつは探索するって言ってたがなかなか戻ってこないな。まさか何かあったのではないのか?

 探しに行くとしようそうすれば安否あんぴが確認できる。

「うわ暗すぎ。どこが通れるところかわからないぞ。」

 ん?足跡がある、たぶんあいつが通った跡のやつだな。


 絶対にあいつのだ!

 今から行けばたぶん間に合うはずだ。ここから急激な坂になってる。

「やべ、足が滑った。一度滑ったら止まらなくなるやつか!うわああああああ……。」


 あれなんかすごく広い空間に出たな。よかったそんなに深くない穴だった。

 そうだ俺はあいつを探しに来たんだった。

「君が探している子はこれか?」

 誰かがいるのか?

 いや違う、せされてたのかもしれない。


「やっと来てくれたかホンダアユモ君、ずっと待ってたよ。」

 この声はどこかで聞いたことあるぞ。まさか諷霊斬なのか。

「そうだキミのことは会った時から不審ふしんに思ってたから待ち伏せしようと考えていたのさ。」


 なんだと⁉会った時から不審に思われてたのか…

「諷霊斬中佐、こいつはどうしますか?」

 ちゅ、中佐だと?


「ああとりあえずこいつは交渉こうしょうの道具として使う。そしてこいつらを我がビーカユパ軍の本部に連れていく。」


(人物紹介・諷霊斬…ビーカユパ軍の第一派遣隊隊長である。ランクは中佐であり最高権力をもっている。)


「さて交渉をしよう。彼女と一緒にワイと来てもらう、もし断るなら…こいつの心をこのようにして壊す!」

 落ちてた石を拾ってにぎりつぶして粉々こなごなにした。


「俺は、お前らと一緒には行かない!」

 だが本当にこの選択は正しいのだろうか?

「ほう、それがキミの選択か。なら彼女には代価だいかを払ってもらおう。おい、この間開発した試薬を持ってこい。」


「かしこまりました。今すぐ持ってきます。」

 そういって彼の部下は謎の試薬を持ってきた。あの禍々まがまがしいのが試薬?

「さてさっそく投薬とうやくしようか。」


「おい、口を開けろ。よしよしお前はいい子だ。」

「な、なにこれ…意識…がだんだん……無くなっていく…。」

 帆奈は倒れた。


「フンこいつらはもういい帰るぞ。アユモ君、キミたちとはまた会うことになるだろう。それまでに彼女が治るといいな。ハハハハハハハッ」

 クソ、早く目覚めろ!

 あいつは許さん、この手でぶっ潰す。

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