第3話 結婚の約束
「結婚だ……と……」
この状況で何を言ってやがる……だが、こいつがミギテならば探知機能を使用した武装の発見は不可能ではない……。
まあ、結婚するという約束だけで取り戻すことが出来るのなら安いものか……元々は俺の右手だし。
とりあえず結婚を前提として話を進めておくとしよう……。
ミギテの方に目をやると神にでも祈るかのように両手を組み、真紅の両眼をキラキラと輝かせながら俺を見つめている。
「よし! その褒美の話は分かった」
「やったー!!」
ミギテは万歳のポーズをとると、俺に抱きついてきた。
「ちょっ! ちょっとまて! まだ話は終わっていない」
「なんですかー? あっ! 指輪の話ですか?」
「なんで指輪なんだ……いいか? まだ、お前が本当に武装を見つけることが出来る保証はない……仮に探知機能で場所を発見出来たとしても、それが偽物の可能性だってあるだろ?」
「えー! わたしの探知機能は完璧ですよ? ジンタイ様だって知ってるじゃないですかー! 酷い……嘘をついたのですか!」
「嘘じゃない、褒美は約束しよう。だがそれは全ての武装を見つけ出し、俺の身体に取り戻すことが出来てからだ」
「うーん……なんか騙されている気もしますけど、仕方ないですね。わかりました……でも、せめて婚約者ということにして下さい! それも駄目だと言うなら、わたしは探しませんよ?」
「婚約者か……わかった」
「約束しましたからね! 嘘ついたら
「わ、わかってる。約束は守るから安心しろ」
「嬉しいー! やる気出てきましたよー! それでは、ちゃちゃっと探知しちゃいますね! よろしいですか?」
「ああ。頼んだ」
よし! これで武装は見つかりそうだ。
ミギテは片膝、両手の平を地面につけると静かに眼を閉じる。
「探知開始します……」
合図と共にミギテの両手が真紅に光り始めると、キーンという高周波のような音が耳に入ってきた。
「現在地から1000kmを広範囲トレース……」
「1つ……2つ……3つ……おろろ?」
「どうした? 何かあったのか?」
「いえ……何というか……4つ……」
「探知完了……」
早い……こんなにもミギテの探知は早かっただろうか? 元々、高機能ではあったけれど、これも無限石の力が影響しているのだろう。
「どうだ?」
「はい! 武装ちゃん4人発見です! しかもかなり近くにいますよ? わざわざ広範囲トレースをするまでもなかったくらいです」
「ところで、なんで4人なんて言い方してるんだよ?」
「え? 何を言ってるんですか? このわたしやジンタイ様の姿から想像したら、他の武装も変化が生じていると考えられませんか?」
「いや、まだ分からないだろ」
「わかります。トレースしたのは、わたしですから」
「ぐっ……そ、そうだが……」
「それと仮にも、わたしと同じ武装ですからね。姉妹みたいなものです」
「姉妹……」
姉妹って……まさか残りの武装全てがミギテみたいな奴じゃないだろうな。
「ジンタイ様。では参りましょう!」
ミギテは立ち上がると牙を出した笑顔を見せ、手を差し出してきた。
俺は、その手を握る。
「ああ……武装の回収を始めようぜ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます