第2話 条件があります

「空が青い……この場所は一体……」


 こんなにも冴え渡るような真っ青な空を目にするのは初めてだ。


 建造物らしきものといい、この空……俺の知る世界ではなさそうだが、不思議と何処か懐かしい感じすら受ける。


 なぜ、こんな場所に倒れていたんだ……あの黒マントの姿も見当たらない……。


「まだ奴は近くにいるかも知れないな……辺りの様子を確認しておいた方がいいか……」


 ミギテが俺の言葉に反応する。


「それならジンタイ様が眠っている間に、この周辺を索敵さくてきしてみましたけど、あの黒いお馬さんは何処にも見当たりませんでしたよ?」


 ほぉ……なるほど……姿は変わってしまっているが、俺の相棒としての役目は忘れてはいないようだな……。


「そ、そうか……助かる」


「いえいえ! イェーイ!」


「……」


 す、少し性格が変わってしまったようだな……まあ、ひとまず奴から逃れることは出来て助かったってところか……あのまま戦闘が続いていたならば、どうなっていたか分からなかっただろう。


 まさか、俺の超爆裂砲撃メガズドンが出遅れるとは……無限石むげんせきを組み込んだことによってエネルギーの蓄積に時間が掛かったってところか?


 いずれにしても、奴に見つかる前に武装の修理をしておきたいところだが、肝心の武装は何処かに吹き飛ばされてしまったのか……それとも消滅して……。


 その上にこの姿……ミギテも生身の女になってしまったし、どうしたら……。


「武装のない俺は、この先どうやって戦っていけばいいんだ……」


「おろろー? わたしがいるじゃないですか? ジンタイ様の為なら、この命を賭けてでもお守り致しますよー!」


 はぁ……。

 

「ほらっ! ほいっ、ほいっ、ほいー!」


 ミギテは奇妙な掛け声を発しながら、おぼつかない動きで空を殴るような動きを見せた。


 こいつがミギテだなんて……あっ、なんだか眩暈めまいがしてきた……駄目だ、俺の目的を果たすどころか、あの黒マントにも勝てる気すらしやしない。


「あれれー? ジンタイ様、もしかして落ち込んじゃってますー? わたし一人じゃ不安なんでしょうか?」


「当たり前じゃねーか! ただの生身の女一人連れて何が出来るっていうんだよ……クソッ! せめて武装さえ揃っていれば……」


「うーん……他の武装ちゃんですか? 仕方がないですねぇー、探しますー?」


「なにっ!? 他の武装は無事なのかっ!」


「どうでしょう? ちょっと探して見ますねっ! あっ……でも……条件があります」


「なんだよ?」


「何かご褒美が欲しいです」


「ご褒美?」


「わたしと結婚してください!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る