第2話 寅 船に乗る

"どこへ帰るんだ ?"

"お城に戻らないかん またお前の豆腐が食べたいな ついてくるか?”

しばらく 寅は考えていたが 別にここにいても やることもないし

俺の豆腐を喰ってくれるんだったら 一緒についてゆくよ

寅トラは一緒に行くことになった


何日かしてその人は偉い先生だとわかった

今日も豆腐を食べている

”寅の豆腐はうまいの” 

いつも笑顔で ニコニコ笑って パクパクと豆腐を食べる

今日も豆腐を出してくれ


また何日かしてきた お城から帰ってきた先生は慌ただしい

”寅 東京へ行くぞ ”

”とうきょう? とうきょうってどこだ”

”俺はとうきょう なんて知らないぞ  何日ぐらいかかるんだ ”

”歩いて行っては間に合わんなので船でゆくぞ”

”船か 俺は漕いだことはないぞ”

”いや 漕ぐのはおまえではない” 先生はニコニコ笑っている


港へ行くと 船は止まっていた 思わず見上げて

”でかいなー これは黒船か?”

” いや これは日本の軍艦だ”

”こんな船で行くのか?”

” そうだ 船で行かんと間に合わん”


乗り込んでみると  やっぱり大きな船は港を離れて東京に向かって動き出した

途中 波は緩やかだった しかし 初めて 船に乗ったらは酔ってしまった


”気持ちが悪い”

舷側に出て海に向かって吐いた

横を見ると先生も吐いている

”先生 大丈夫か”

”寅は大丈夫か”

二人で思いっきり吐いて船は進んでいく

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