第7話
『虹を渡って宝物を探しに行こう!』お前は子供の頃、冒険だと言ってよく虹を追いかけてたな。虹のふもとには宝物が埋まっているとか魔法の国があるとか。馬鹿だな。虹は近づくこともくぐることもできないのに… #twnovel 弟は冒険家になり雪山で行方知れずだ。戻ってこい!俺の宝物はお前なんだよ。
木の葉の匂いのする夜風に髪がと舞う。虹色の雲を纏いながら見え隠れする月は、手が届かないほど高い高い空に或る。満たされない美しい半月。その姿になぜか私の胸は切なく締め付けられる。#twnovel 名前も声も姿も知らない目の前のあなた。同じ月を一緒に見ましょう。「半分の月が綺麗ですね」
残念だね。君は約束の時間に間に合わなかった。ハロウィンパーティーは終わってしまった。魔女の箒もカボチャの馬車もコウモリの翼もないのに間に合うはずがないだろう?本当に人間は不便だね。#twTorT そんなに泣くな。仕方ない君がその血を分けてくれるなら、私の城に招待しよう。吸血鬼の晩餐に。
ひらりと舞う金色の蝶。それを振り仰ぎながら君を想う。あの時、君はなんと言いたかったのだろう?何か言いたげに、僕を見つめここで待っているように言い小一時間。……置き去り?#twnovel 『お待たせ~。焼き芋の材料買って来た~』彼女が笑顔で走り寄る。あ、そゆこと?芸術の秋より、食欲の秋か。
心が弱って何かよりどころが欲しくて、コインを天に投げた。女神と悪魔の絵柄の金貨がくるくると回る。表が出ればこの道は正しい、裏ならば……引き返すのか?#twnovel 結果を見ずにコインを掴んで投げ捨てる。気の迷いだった。どうかしてた。もう俺は進むしかない。やることは一つだ。
クラスメイトに小説を書いたノートを取り上げられ、暴言を吐かれた。根暗だとかゴミ製造機だとかいつも嫌がせだ。別に何とも思ってない奴に何と言われてもかまわない。ただ、あの子に聞かれたことが嫌だった。#twnovel いたたまれず席を立つと彼女に腕を捕まれた。『私も行くよ』やっぱり君は味方だ。
書くことに何の意味がある?そう問われても俺は言い返せない。別に意味などない。金になるわけでも、評価されるわけでも、まして誰かに待ち望まれてるわけでもない。頭の中の物語をただ取り出すだけの作業だ。#twnovel そう言えば満足か?俺の白黒の文字の集まりに、胸を焦がすのは俺だけで充分だ。
騎士は敵国に捕らわれた姫を救いに行き、拒絶された。『私の命で民が救われるならいいのです…』その高潔な姿に騎士は為すすべなく、立ち去るしかなかった。#twnvday 騎士は床に鍵束をたたきつけると慟哭した。あなたが失われたら私も後を追います。でも、あなたの目には私など映ってないのでしょう。
山に住む俺たちは畑を持たない。狩りをするのは生きる為だ。残酷とは思わない。#twnovel 弓に矢をつがえ。強く強く弦を引く。狙いを定め、獲物の魂の一点を狙う。空を切り裂き矢が放たれる瞬間。既に命の手ごたえがあった。鋭くひと鳴きしどうと倒れる鹿。俺はその悲しい目を忘れずに食らおうと思う。
冷血騎士と揶揄されるあなたが、誰よりも国の行く末を案じてると私は知っています。これが恋でも憧れでも、私はあなたの傍で見届けたいのです。#twnovel ああ、君の目には俺がどう映っているのだろう。心優しい君とは決して分かり合えない。けれど、それでいい。そうでなければ
足早に帰路につくはずが、金木犀の香りにふと立ち止まり目線を上げる。夕空が映った。珊瑚や紫水晶を透かした淡い光を織りながら夜の帳が降ろされる。#twnovel ひどくどこかへ帰りたい気持ちになった。生まれも育ちも、この土地だというのに、どこへ還ろうと言うのだろう。僕にもよく分からなかった。
裸足は嫌いだ。嫌な記憶を思い出す。子供の頃、素足で河原を歩いて怪我をした。ふやけた足裏を鋭利な石が切るのは容易い。BBQをし魚を獲り、楽しかった思い出は台無しになった。#twnovel 大人になり、勇気を出して白い砂浜を歩いてみた。どこまでもどこまでも。憂いは波がさらって消えていった。
秋の夜ふかしは、少し大人びた気持ちになる。灯りを落とした部屋で暖かい珈琲の香りを楽しみ、虫の声に耳を澄ませる。高く上る白い月に、夏とは違う空気を感じる。#twnovel 憧れの作家も同じ夜を同じように過ごしているのかと思うと胸がじんとする。ゆっくりと丁寧に本のページをめくりたくなった。
人生は、勝つか負けるか、生きるか死ぬかそれしかない。配られたカードがブタならそれまでだ。運が悪かったと泣いて諦めることだ。#twnovel フン、誰がそんなこと易々と受け入れられるものか。俺は泥水をすすってもイカサマをしても、アイツの分まで勝ってやる! この世は輝く欺瞞で出来ている。
とじるのは簡単だ。すべて閉め切ればいい。目をつぶり、耳をふさぎ、口をつぐむ。嫌なこと、汚いこと、恐ろしいことから身を守るためだ。けれどここはずっと夜で、暗くて、寒いんだ…。#twnovel 僕は闇に耐えられずそっと扉をひらく。隙間から差し込む金色の光に手を伸ばすと、指先に温もりを感じた。
星と星を渡るのに主流なのは星間連絡船だ。
あの青白い星と赤い星の間も、銀の宇宙船が光の速さで行き来してる。#twnovel 船長のあなたが宇宙で過ごす間も、地上で過ごす私は老い続けるのでしょう。あなたが地球へ帰ってくるときは、私の死んだ後にして欲しいと願うのは、つまらない女心なのです。
美しいオーロラは地球のどこででも見られるようになった。黒点が増えると磁気嵐が起こる。現代においては当たり前の気象現象だ。100年前から太陽活動は活発になり、太陽のくしゃみは僕らの生活を脅かす。#twnovel その日、大量の磁気を帯びた飽食の極光は、地球を飲み、僕らの生活を停止させた。
お砂糖と卵と牛乳。ざらざらとしたもの、どろどろとしたもの、濁ったもの。そんなものから女の子は出来ている。だからすべてをよおく混ぜましょう。醜い気持ちを隠し通せるように。黒い粒々のバニラビーンズはその仕上げの魔法。#twnovel 甘い香りがすべてを包み隠し。私は極上の笑顔でプリンになる。
人の命は地球より重い。子供の頃そう思っていた。けれど毎日、人は死ぬ。病気でも事故でも戦争でも…。なのに地球は滅びない。だから、そんなのはキレイで絵空事だ。世界は残酷で無慈悲で矮小な俺など見向きもしてくれない。#twnovel けどな、俺が命の大切さを知らないなんて誰が言った?
容姿を整え、品位を磨き、知識を蓄え、社交を身につけた私は政治的な駆け引きさえも遊戯の様に操れた。しかし、いずれは政略結婚のバッドエンド。そこに降って湧いた聖女待望論。#twnovel 自由の為なら聖女のひとつも演じてみせましょう。純真な聖女を騙るなんて造作もない。私は悪役令嬢なんだから!
曇天から悲しみの雨が降る。毎日毎日。僕は耐えられなかった。だからすべて投げ出し部屋に引きこもった。なのに君は僕を諦めずに誘い続けてくれたね。#twnovel カーテンを開けると、青い空に高く真っすぐに伸びる白い立葵の花が見えた。ああ、君のようだと思った。僕の梅雨を晴らしてくれた、眩しい人。
私は海を知らない。空と海の境界線も潮の香りも寄せてはかえす波の調べも本の中。ああ、いつかこの山脈を越えて青い海を見たい! #twnovel 私は草原の中、まだ見ぬ場所へ思いを馳せる。海を渡ってきた風は、今、私の足元の長い雑草をさざめかせ、波の音を響かせる。目を閉じればここは緑の大海原。
暗闇を統べる黒竜は夜に住まう。暗黒の翼を広げ人々に夜を告げ、星空をひたすらに飛び続ける。永遠に昼を追いかけたどり着くことは許されない。あと少し。あと少しで手が届くのに!黒竜は朝日を求め速度を上げる。#twnovel 水平線から微かにオレンジ色の光がのぞく。その一粒の宝石が彼の生きる糧だ。
まあるく輝く満月。黄金の光を放つその姿は、闇の中に在る者達の本能を掻き立てる。狼が遠吠えをするように、怪物が本来の姿を晒すように。潮が満ちあふれ出すことは抑えられない。#twnvday『かぐや姫、足が宙に浮いてますよ』「あら恥ずかしい///」満月の夜は帰巣本能か引力か、つい浮いてしまうの☆
風を削って絵の具にしたら、進むあなたへ応援旗(エール)を描きます。星を削って絵の具にしたら、迷うあなたへ道しるべを描きます。海を削って絵の具にしたら、深くあなたの心へ届く人魚姫を描きます。#twnovel 私の想いを削って絵の具にしたら、あなたへ何が描けるでしょうか?
台風の夜。強く強く風が吹く。時折マンションから耳をつんざく笛の音が上がる。ビル風が発する風切り声に私の心が叫ぶ。真面目な優等生?型に嵌めないで!何もかも壊れればいい!私はベッドの中で耳を塞ぐ。#twnovel そして私は風がおさまれば素知らぬ顔をして学校へ行く。この名を知らぬ獣と共に。
夜闇の天蓋を押し上げる力強い太陽。朝焼けの色はなんと眩しく美しいのだろう。無垢な輝きを全身に浴びながら僕は思う。約束だからここにとどまったが、あの時、君と共に見たかったと…。#twnovel 吸血鬼は数百年も昔に失った愛しい者を想い笑う。約束は果たした。もう体が砂になっても悔いはない。
敵を屠りながら侵攻する。こんなこと間違ってると分かってる。けれど祖国に残した家族の為に命令に従うしかない。敵地の真ん中で何もかにもが尽きた。民間人を装って民家で水をもらった。たかがコップ一杯に、何を負い目を感じる必要がある?#twnovel けれど、あの水の味が今でも忘れられないのだ。
不運が続いていた。片想いの人に彼女がいた。スマホを割った。歯磨き粉と洗顔フォームを間違えた。残業から帰ったら熱が出た。もう散々だ。#twnovel はいつくばって冷蔵庫にたどり着くと昨日食べ損ねたプリンがあった。するりとプリンが喉を滑り落ちると涙がぽろぽろと零れた。明日はきっとよくなる。
私を愛してると言ったその口で、なぜ別れを告げるの?『僕は闇に生きる吸血鬼。光が似合う君とは歩めない』さよならの切ない口付けに涙が溢れる。#twnovel イヤ無理!私は彼のマントの襟をぐっと掴んで離さない。「私は自分の生きる場所は自分で決めるわ!」あなたの隣なら永遠に闇夜でも構わない。
アナログの時計が好きだ。永遠に続く時間を目に見える形で示す秒針の健気な姿に私は心を打たれる。それにコチコチと言う時を刻む秒針の音を聞くと安心する。まるで規則正しい鼓動の様だから。#twnovel 今日も眠れない私は、あなたの愛用していた腕時計にそっと耳に当てる。ここにあなたが生きている。
「フレアの磁気嵐に備えて下さい!」コロニー内に響く私の声に、自分の勘を信じる老採掘技師達は疑いの眼差しを向ける。配属されたばかりの小娘宇宙予報士は信用できないらしい。緊急事態なのに!#twnovel 仕方なく私は老人型アバターで同じ説得をする。これで聞き入れられるなんて、ちょっとずるい。
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