第5話



何度も書くのをやめようと思った。いくら投稿しても、何年たっても評価されない。そりゃそうだ。俺みたいなちょっと書ける奴は腐るほどいる。感想がないのは否定と同じと感じ、どんどん心が削られる。#twnovel でも書いたものを並べれば、少しだけ自分を誇れる。すべて俺が俺だけの力で書いたものだ。




顔を背けたまま、言いたいことだけ言って去った君。勝手に自分の理想を僕に押し付け、勝手に失望し。いい迷惑だ。僕だって明るい道ばかり歩んできたわけではない。時には泥水をかけられ、地べたを這いながらここまで来たんだ。#twnovel 僕の瞳の色すら覚えてない君にいったい何がわかると言うんだ。




私の街は灰で覆われました。人が住むのは危険だと口さがなく言われても逃げる所などありません。ここが私たちの故郷なのです。息を吸うのも怖く、寒さに震え、闇の中なみだが零れました。#twnovel お姉ちゃんがラジオをつけて一緒に布団に入ってくれました。その温かさを今でも覚えているのです。




プラネタリウムは僕のお気に入りの場所だ。街灯りで霞んだ空に、星なんて見つけることはできないから。……そう思い長いこと諦めていた。けれど、君に教えられ見上げたぼやけた夜空に、一粒の輝く星を見いだせた。#twnovel この感動を、この気持ちを、どう君に伝えたらいい?




君のことを『冷たい』とか『何を考えているのか分からない』なんていう奴は友達とは言えない。みんな仲良く?ありえないね。君のことを傷つけて知ろうともしない奴を、僕は君の隣に立たせるつもりはないよ。#twnovel 君の隣は安心するし、差し出される手はいつも暖かい。僕はそれを十分知っているよ?




かつて私は暗殺者として王子に近づき失敗した。『こんな幼い少女に命を賭けさせるとはなんと無体な…この世を変えなければ!』度量の広い豪快な王子になぜか命を救われた。命の対価は命で返す。そう決めて側仕えになった。#twnovel だから今、赤く染まった私の胸を見てそんなに泣かないで下さい王子。




茜色の図書室には影だけが残っていた。これから日没までは特別な生徒の時間だ。司書の私はカウンターに座る。影は無言でカードを差し出し本と共に次々に消えてゆく。私にはその姿が見える気がする。題名やカードの文字にしっかりと利用者の姿を感じる。#twnovel しかし詮索はしない。それが司書だ。




ワタシの笑顔も泣き顔も作り物。ワタシは主の意のままに歌い踊ります。操り人形とはなんとあわれで滑稽なのでしょうと人間は言います。#twnovel でもワタシは主と共にどこまでも一緒に旅が出来て幸せなのです。ワタシが泣いている子に手を差し出す時、主もまた心の中で手を伸ばしているのですから。




あなたが鉢植えをくれた時『君に似合う白い花が咲くよ』と言った。私は確か白色は好きだ。けれど私はそんなに潔だろうか?#twnovel 水やりをしてついに花が咲いた。「嘘つき…」そう呟いて私は笑った。赤色の八重の咲きの可憐なラナンキュラスがそこにあった。あの人がそろそろ遠距離から帰って来る。




雪山で遭難した。真白に閉ざされ前も後ろも分からない。さっきまで頬も耳もナイフで切られるように痛んだが今はもう感覚がない。手は既に氷柱のように冷たい。膝を折り「ごめん…」と彼女の名を呼んだ時、不意に胸が熱くなった。#twnovel

「いや、絶対帰る!」春の花の名を持つ君は、いつも僕の道標。




入相の空が、燃えるような茜色から静寂の青へ色を変えていくと、雪の残る山嶺もまた大きく堅固な城壁のようにその姿を変えた。星がひとつ、またひとつと瞬き、光の旋律を奏でる。まるで密やかなミモザの香りのように。#twnovel 僕は思う。あの山の向こうに、あの星の向こうに、何があるのだろう?




嘘は嫌だ。真実を覆い隠して人を惑わすから。君もそうだろ?『俺は大丈夫だから』そう言って僕に逃げるように促した時、君は死を覚悟していたんだろう。なのに、どうして僕はその言葉を信じてしまったのか…#twnovel 嘘という希望にすがり、僕はいつまでも君を待つ。あの笑顔が最後とは思いたくない。




「いっぱい手紙を書くよ」と言って転校した小5年の夏。言いたいことはいっぱいあったのに、字が汚くて自分からは手紙が書けなかった。転校先の方言が聞き取れず、友達ができずに泣いていた僕に約束通りに手紙をくれた君。#twnovel だから勇気を出して返事を書いた。「ありがとう。がんばるよ!」




世の中はくだらないリプレイ。何度だって同じことを繰り返す。奪い合い、殺し合う。ただ涙が積もるだけの愚かな争いを繰り返す。#twnovel 大地が揺れ、波が襲い、明日、大切なものがすべてが奪われることすらあるのに、なぜで憎しみ合う必要があるの?

私は今、あなたの手を握り温もりを確かめたい。




私だって結果は分かっている。この先いくら戦っても命が失われるだけで勝てやしない。それでも子供の未来を、暖かな家を、懐かしい故郷を理不尽に奪われて黙ってられるの?降伏なんてしたくない。耐えるしかない。#twnovel 夜空に増え続ける星を数えることしかできない私に誰でもいいから力を下さい。




明日、戦士になれと言われたら君はどうする?ゲームのように銃を渡され、アニメのように戦闘機に乗り込む。夜に子犬のように震えても、昼には獅子のように勇ましく敵を屠れと言われる。死に場所も選べない。爆撃された亡骸はあの家に帰れない。#twnovel それを知っても尚、僕は戦う。故郷を守るため。




厳しい冬だった。茅葺の家は雪で閉ざされ毎日粥でも米は底を突き、ひもじい思いをした。それでもここを離れないのはなぜ?私にも分からない #twnvday 村娘は額に汗し畑を耕しながら、山を見上げ微笑む。そこには兎の形をした真白な残雪が浮かび上がっていた。春告げの種蒔き兎。「今年も逢えましたね」




海面に揺れる銀青色の美しい尾びれ。その主がきらきらと飛沫を上げ跳ねる。人魚だ。月明りに浮かぶ白く輝く上半身に釘付けになる。「あなたの歌を聞かせくれ!」王子は船から身を乗り出し酔ったように懇願する。#twnovel 『海の底に来る覚悟はおあり?』人魚はくすと笑い、波のまにまに去って行った。




突然の雨に逃げる場所もなくただ立ち尽くす。穿つように降る白い雨。所詮、真夏のスコールだ。少し我慢すれば、通り過ぎる。怖くない。怖くない…。僕は自分に言い聞かせる。空に閃光が走る。地を揺らす雷鳴が体をも震わす。#twnovel ずぶ濡れの髪から滴る雨が目に沁みる。誰か傘を差し伸べてくれ。




幸せは雪の様に溶け、憎しみは墓標の様に増え続ける。ふざけるな!僕の大切なものを奪うことが、お前の正義だと言うのか!?そんな狂った理屈をなぜ世界は享受する!?#twnovel 幸せだった時の事など、今はもう思い出せない。僕の中は黒く不快なものであふれ身動きがとれない。泣き叫ぶ自由すらない。




私は想像してみる。

私が花ならば花びらを精一杯開きあなたを笑顔にしたい。私が鳥ならば翼を広げ大空を舞いあなたを見守りたい。私が風ならば追風であなたの背を押し勇気をあげたい。私が月ならば月明りであなたの闇をそっと照らしたい。#twnovel 私が人間ならば、文字を綴りあなたに愛を伝えたい。





お母さんと小さなことでケンカをして家出した。子供でお金がないから公園の遊具に隠れて住もうと思った。けれど雪が降り始めた。寒すぎると死んでしまうなど考えもしなかった。ただ静かで怖くなった。#twnovel 迎えに来たお母さんは抱きしめくれた。ちゃんとこの温もりを覚える。もう決して忘れない。




全国大会への切符は私の物になると思っていた。毎日、走った。タイムだって上がっていた。本番でも実力は出せた。なのにあの子に負けた。悔しかった。今までの努力が否定された気がした。全力を出し切れば悔いはない?そんなの嘘だ。#twnovel 涙から逃げる方法を一つしか知らない私は、また走り出す。




営業の野田君は、外回りから帰るといつも天然水を飲んでいる。それが毎日銘柄が違う。米国、仏国、富士山の水etc…。「ねえ、味に違いがあるの?」「ありますよ!俺、自分に合う水を探してるんです」#twnovel ぐびと飲む彼の姿は、清々しく気持ちがいい。きっと、この会社の水は合ってると思うわ。





僕は他の機械人形とどこか違っていた。自我がある僕は、人間の命令に素直に従えなかった。自分で考え、選びたい。不服従な僕はネジが外れた出来損ないだと言われたが、それでよかったのかも知れない。スクラップ場から這い上がり、ここまで来れたから。#twnovel 青い太陽が沈む美しい惑星へ。




私の電池は減りが早い。早起きして満員電車に揺られ、我儘な客に頭を下げる。世の中はどんどん私を削っていく。もう動けない疲れたよ。#twnovel いつものコンビニであんまんとピザまんとビールを買い家路につく。ぐっと嫌なことを飲みこんだ後は甘いもので口直し。大人はそうやって充電するしかない。






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