第4話
美しい入り江だった。痛々しいほどに透き通る水に満たされ、水面は光り輝き俺の荒んだ心を貫いた。戦争が終わったら、故郷を案内してくれると言った戦友。
夜中、
いつも花柄のマグボトルを持ち歩いているのに、今日に限って忘れてしまった。まったくツイてない。仕方なく廊下にある自動販売機まで行くと、営業のエースで憧れの塩田先輩がいた。私ツイてる! #twnovl「あの、おつかれさまですっ!」会話はそれ以上のびなかったけど、明日もマグボトルは忘れよう☆
これは抱擁なんかじゃない。ただの慰め。校舎の階段の隅で孤独に泣きじゃくっている女子生徒を抱き寄せあやしただけだ。あの時、誰も助けてくれず絶望した自分と重なったから。#twnovel 『生きると約束するなら、復讐を手伝おう…』俺の半透明の霊体を見て、驚きながらも少女はコクンと頷いた。
屋上で友達と弁当を食べる漫画の場面は私の憧れ。なのに鍵がかかっていて入れない。現実は
ぼくは手には魔法使いからもらった薄紅色に光る小瓶を手にし、落葉が舞うブナの木立を全力で走り抜ける。大好きなどんぐりを拾い集めることも忘れて、一目散に木のうろの隠れ家に飛び込んだ。「これであの子に想いが伝えられる!」 #twnovel 一刻、人間に成れる薬を手にリスは恩返しの旅に出る。
白い闇を知っているか?人間の視界を
深夜、デスクライトのみで受験勉強をするのは僕の日課だ。集中はできるが不意にそれが途切れると、闇の中に一人だけ残されたような気がし、強い不安感に襲われる。そんな時、ラジオからの声に耳を澄ます。読まれるリクエストに大勢の気配を感じ心が温かくなる。#twnovel 同じ夜の中に仲間がいる
魔女のお姉さんが『あなたには特別なお年玉をあげるわ』とキラキラ光る瓶をくれた。中には虹色の香油。ふたを開けると、はじけて踊り出しそうな甘い飴の香りがふんわり漂う。#twnovel
『なりたい自分になれる、魔法の薬よ☆』
新しい年から、私もお姉さんみたいにいつも笑顔の人になれるかな?
あの子の独り言が、辛いと言ってるように聞こえたから、僕は勇気を出して声をかけた。委員長だからとか見返りを求めてじゃない。目に留まる人には心穏やかでいて欲しいから。#twnovel 回りからは偽善だと嗤われ、あの子も困惑していた。見ない振りが出来ない不器用な僕はどうすればよかったんだろう。
廊下を曲がったら女子とぶつかった。なんてお約束!「大丈夫?」と手を差し伸べ気付く。『私たち入れ替わってる!?』おっとまたもお約束。これは互いを意識する展開か!?#twnovel「お姉ちゃん」「妹よ…」『双子で入れ替わっても意味ない!』いやいやそんなことないぞ需要はある! がんばれ双子姉妹☆
世界は大気汚染で食糧危機に
巨大彗星が直撃して地球が消滅するなんて、知らないままでいたかった。病気で余命宣告をされている私だってさすがに動揺する。でも私の恋人はホッとしたように笑った。#twnovel『君を失ったら僕は生きていけないと思っていたけど、ゴールが同じでよかった』ああ、神様。どうか彼だけでも救って下さい。
俺は歌うことが大好きだ。一人カラオケを5時間したって飽きない。いつでもステージに呼んでくれ!しかし致命的な問題が。それは『音痴』きっと人前で歌うことはない…「なんだって俺の歌が必要!?」ファーストコンタクトに現れた宇宙人は、歌で意思疎通をはかる。しかも俺の音痴と波長が合うだと!?
先輩がキスをしていた…。愛おしくて堪らないように熱い視線を向け、大切な宝物を扱うように優しく抱き寄せていた。それを本棚の影から盗み見ていた僕の心臓は跳ねる。#twnovel あれは僕がおススメしていたファンタジー小説だ!僕が好きなのか?それとも本が気に入っただけ!? 聞く勇気はまだない。
私は決してこの場所から動けない。何年も空を仰ぎ見続けた私は『私』でしかない。でもそれでいい。その分深く根を張り決して揺らがない。私は道しるべの樹。旅人が木陰で休み、彼方の土地の話を聞かせてくれ、渡り鳥が羽を休め、見知らぬ空を歌う。#twnovel 私は皆の自由を
聖夜、樹に灯る
地上は毒に侵されて荒廃した。人間は住めなくなり、地下へ移住した。もう、何世代にもわたり地下都市に住んでいる俺は空を教科書でしか知らない。
なんでも台風や雷、異常気象で大混乱だったらしい。ここは地下なので常に温かいし、天候と言うものは存在しない。#twnovel 「地上人は不便だったんだな」
うだる暑さの中、机に突っ伏し炭酸水のはじける音に耳を澄ませているとベランダにセミが飛び込んでかき消した。なぜ、あれほど全力で鳴くのか?七日後に死ぬセミを哀れに思い逃がしてやる。運命に抗うだけ無駄なのに。#twnovel 調べたら、セミは10日から1か月程度生きるらしい。少しだけ救われた。
ぼさぼさと雪が降りしきる中帰宅した。塾帰りは真っ暗、頭には雪が積もって最悪。『まあ、寒かったでしょう。早くお風呂に入って』母の声はするが眼鏡が曇って見えない。震える体を温めようと浴槽の蓋を開けると柚子の爽やかな香りが立ち込めた。今日は冬至か! 受験まであと少し。がんばるぞ。#twnovel
『星屑を拾いに行こう!』都会から越して来た僕を誘ったのは元気のいい少年。からかわれたのかと思い「そんなのない」と返事をすると、気にした様子もなく笑顔でついて来いと言ってくれた。#twnovel 『落星川には昔、星が落ちたんだって』彼は川原にある輝く石を僕にくれた。それは、今も僕の宝物だ。
ふかふかのクッションに、トランプにポテチにサイダー。パジャマパーティーに欠かせないアイテム。恋バナをしながらの神経衰弱はエンドレスで、ババ抜きのジョーカーはいつまでも踊る。しゃべり疲れて横になると、健やかな友の寝息が聞こえる。#twnovel 私は溜息。同じ人が好きなんて言えなかった。
急に耳が尖ってきて髪で隠していたが、背中もムズムズするし検査を受けたら陽性で、私には『妖精』の血が混ざっていることが判明した。ご先祖様に人ならざる者がいたという証明は私にとってプラスかマイナスか? #twTorT 悩ましいけど、今宵だけは姿を気にせず街を歩いてもいいでしょう。 #twnovel
白雪姫はなぜ林檎を食べて
星々の奏でる音は、耳には聞こえない。
まばたきが聞こえないのと同じだ。
目に見えるけれどもあるんだよ。ごろりと横たわり夜空を見れば、宇宙を見上げているのかそれとも、見下ろしているのか分からなくなる。僕はこの不思議な感覚が好きだ。君も試してみて欲しい。#twnovel
寒ければ寒いほど、星は輝きを増す。分かってはいるが冬の天体観測は辛い。オリオン座流星群はまだ我慢できるとして、しし座、ふたご座流星群に至ってはもう我慢の限界だ。#twnovel それでも、ブランケットをかぶってまで夜空を見上げるのは、星が流れる瞬間。
宇宙に手が届きそうな気がするから。
祖父の家には柿の木があった。彼岸になると雲ひとつない青空を背にオレンジ色の実がたわわになる。けれど、それは渋柿で幼い時いたずらに食べようとして痛い目にあった。祖父は笑いながら言う『干し柿にして送ってやる』#twnovel もう送られてこない干し柿。けれど、あの渋さと甘さは決して忘れない。
道化のように振る舞うことを強いられ、最後には浅瀬に打ち上げられた鯨のように死を待つだけの人生だった。もうすべて終わりにして海に還りたい。黄泉の淵で女神が言う『生き直したいですか?』その言葉は、じんと痺れる麻酔のように、俺の心に広がり決意を鈍らす。#twnovel「ああ、叶うならば復讐を」
薄暗い部屋で、フードを目深にかぶり水晶を見つめる占い師。対峙する俺は、占い師を促す。「何が見えた?」「あなた様が兄君を排し、王座につく姿が」それ聞き満足し、口止めに過大な報酬を渡す。#twnovel 心は決まった。そんな未来は覆す! 大好きな兄様となぜ戦う必要がある? 俺が王宮を去ればいいだけだ。
5時限目の授業はいつも
なのに今日はそうでもない。
そんなに好みじゃない若い男性教師が読む歴史の教科書。けれど、軽く目を閉じて聞く声は、耳に低く響いて心地よい。
――――― とくんと胸が鳴る。
好きじゃない。好きじゃないんだから。#twnovel
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