第15話 セーラと聖剣
セーラとジェノはシュウダによって部屋の中に招き入れられる。
セーラとジェノは部屋に入ると、シュウダの枕元に置かれたシュウダの愛剣をチラリと見る。
勇者シュウダの愛剣の聖剣カイジ・ルシは、特殊な能力を持った聖剣。聖剣と言われるように聖なる属性を纏っている剣でありながら、切った相手の魔法を解除する剣。それが本人にとって良い効果をもたらす魔法も、悪い効果をもたらす魔法だろうと。
魔王が纏っていた魔法は、強力な支援魔法であった。その支援魔法はただでさえ強力な魔法がさらに強化されていた。それをシュウダの聖剣で打ち払い魔王を倒した。
その聖剣を使いセーラにかかった魔法を解除する。
先ほどの彼女の鑑定の結果、セーラが呪われていない事がわかり、残るは魔法がかけられている可能性が残った。
(もし、魔法ならば聖剣カイジ・ルシで解除できるはず)
そう、思いセーラとジェノは、いかにシュウダに気づかれず聖剣を借りるか考える。
セーラとジェノ、シュウダとサイドは先日と同じように4人で会話を楽しんだ。
「ちょっと失礼するね」
4人で話している途中、少し会話が途切れた時にそう言ってシュウダが椅子から立ち上がる。
シュウダが立ち上がった後をサイドがついていく、セーラとジェノは視線を合わす。
「申し訳ないけど、お茶のお代わりと、厨房でお菓子をもらってくる」
「また、料理長にお菓子を頼んだのね。ジェノと話して待っているわ」
シュウだとサイドが部屋から出てドアが閉まるのを確認すると、セーラとジェノはすぐにシュウダの枕元にかけよる。
「セーラ様、いましかありません」
「ええ、ジェノ。今の間にお借りしましょう」
セーラはカイジ・ルシを引き抜くと、自分の手のひらの乗せ、そっと引く。
「っ⁉」
セーラの手のひらにうすっらと血がにじむ。セーラはそれを確認すると、すぐにムダ毛に剣の刃をあてる。
セーラの鼓動が早くなり、息も荒くなる。今現状でとれる行動の最後の頼みの綱。
セーラはゆっくりと剣を引く。
キキキキキィ
セーラとジェノの顔に絶望の色が浮かぶ。
「セーラ様……」
思わず呟いたジェノの表情は、苦虫を噛み潰した様であった。
ジェノの声を聞いたセーラは、力をこめて再び剣を引く。
キィン! キィン!
セーラは、何度も何度もムダ毛に剣を叩きつける。そのたびにセーラの気配が大きく膨らんでいく。セーラは、切りつけるたびに自分に支援魔法をかけその身体能力を引き上げていった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、いったいどうすれば……」
そう言って再び切りつける。
その時であった。
ピキッ!
「「⁉」」
セーラとジェノは聖剣の刃を見る。
「聖剣が……ひび割れている……」
セーラとジェノはそれを見て顔を青くする。
「そ、そんな⁉ 聖剣より私のムダ毛がかたいなんて⁉」
「セーラ様! しっかりしてください!」
「ど、どうしようジェノ……」
「セーラ様落ち着いてください!」
そう言ったジェノもパニックを起こしそうになっていた。
「セーラ様まずは聖剣の修復をいたしましょう!」
「ですが、聖剣を修復できる者などいるのでしょうか?」
「
「人族には?」
「はい、セーラ様。ドワーフという種族はご存じですか?」
「た、たしか鍛冶とお酒が好きな……⁉」
「そうです! 今から私達はドワーフの国に向かい、聖剣を修復します!」
「はい!」
「では、セーラ様、急ぎ城から出ます!」
「その前に私の部屋によって下さい! 愛剣レットを取りにいきます!」
「無理です、セーラ様。これからセーラ様は姿を隠して活動しなければなりません……そのためセーラ様の愛剣のレットは城に置いていきます。それにシュウダ様の聖剣を持っていくのです。シュウダ様にも剣が必要です」
「わかりました。シュウダならきっと私のレットを大事に使ってくれるはず……」
「はい、では城をでます!」
そう言って、2人はシュウダの部屋を出ると、そのまま城を跡にする。城を出て2人は王都を歩く。そんな中、セーラがジェノに尋ねる。
「ジェノ、これからドワーフの国に行くまでどうするのですか?」
「まずは、セーラ様。冒険者ギルドに行ってお金を下ろしていただけますか?」
「ジェノそれでは、私達の動きがばれてしまうのではないですか?」
「今王都にいるからこそ、お金を下ろすのです。皆が私達を探す時、途中でお金を下ろせば、私達の行く方向が限定されてしまいます。そのため、今の間に下ろすのです」
そう言って、ジェノは冒険者ギルドに向かう。
ジェノは冒険者ギルドに着くと、勢いよくのそ扉を開ける。
今、2人は王城で生活をしている。そんな二人の服装は良く目立ち、冒険者の目を集める。
ジェノは大股でカウンターまで歩き、受付嬢の前に行くと付いてきたセーラを前に押し出す。
「ご用件はなんでしょか? セーラ様」
そう受付嬢が尋ねる。
「冒険者ギルドにに預けているお金を下ろしたいのです」
「わかりました。おいくらほどでしょうか?」
「……今、預けている金額を全額下ろしたいんです」
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