第9話 セーラのお姉ちゃんと弟
コンコン
「「どうぞ」」
ジェノが部屋をノックすると揃って返事が返ってくる。
「あ、お帰りサイド」
「おかえりなさいジェノ」
「「ただいま戻りました」」
「セーラ様、私が居ない間、何かご不便はありませんでしたか?」
「うん、大丈夫。シュウダと楽しくお話してました」
「シュウダ様も何か、問題はありませんでしたか?」
「うん、ありがとうサイド。楽しく話をしていたよ」
「「それは、良かったです」」
笑顔で返事をするセーラとシュウダ、それを聞きジェノとサイドも笑顔で返事をする。
「そうだ、ちょっと料理長に頼んでいたお菓子があったんだ。料理場に貰いにいってくよ」
「シュウダ様、そのような事であれば私が取りに行ってきます」
「そうです、シュウダ様。そのような事は、私かサイドがいたしますので、どうかここでセーラ様とお待ちください」
「ジェノもサイドもありがとう、でも良いんだ。僕が取ってくるよ、いや取って来たいんだ。セーラもサイドと久しぶりに話しくれると嬉しいな」
「わかりましたシュウダ。ジェノもサイドも一緒にお話をしましょう」
「じゃあ、いってくるよ」
そう言ってシュウダは、笑顔で料理場に向かう。
シュウダが部屋から出るのを見届けるとセーラが思わずつぶやく。
「シュウダは皆に優しいですね」
「「はい」」
セーラの言葉にジェノとサイドは声をそろえる返事をする。
「セーラ様、シュウダ様は2人の時も私にとても優しくしてくれます」
「2人の時と言えば……さきほどシュウダから聞いたのですが、シュウダと2人で話すときはもっと気安く話しいるとと聞きました。どうか私にそうしてください。そうですね……私の事はセーラお姉ちゃんと呼んでください」
セーラにそう言われて、困った顔でサイドは姉のジェノを見る。
ジェノはサイドに見られると笑顔でうなずく。
それを見てサイドは口調を変える。
「わかりました、セーラお姉ちゃん」
「はい、いつもその口調で話してくれるとうれしいです。ジェノお姉ちゃんも」
そう言ってセーラはジェノを見つめる。
(んほぉ~)
「セーラ様、そんな突然言われても」
「皆が居る前でとは、言いません。私、シュウダ、サイド、ジェノお姉ちゃんの4人の時だけです。……だめですか?」
そう言ってセーラは、上目づかいでジェノを見つめる。
(上目づかい来たー!)
「セ、セーラ様そんな事を言われましても。私の口調はかわりません」
「……」
セーラの目が涙目になる。
(上目遣いからの涙目のダブルアタック⁉)
「……セーラ。お姉ちゃん頑張る」
セーラの上目遣いと涙目によりジェノは陥落する。
「やった!」
「わっ⁉ セーラお姉ちゃん⁉」
「セ、セーラ⁉」
セーラは、2人を抱き寄せると頬ずりする。
「セーラお姉ちゃんくすぐったいよ~」
「セーラくすっぐたいわ」
「うふふふふ~」
ジェノとサイドがくすぐったそうにするが、セーラはそれが楽しいのか頬ずりを続ける。
コンコン
3人が楽しそうに頬ずりをしていると部屋がノックされる、本来であれば3人がしていることを見られると、外聞が悪いためやめなければならないのだが、3人はノックをした相手が誰かわかっているためにそのまま頬ずりを続ける。
「「おかえりなさい」」
3人の言葉に扉が開き、シュウダが入ってくる。
「おや? 楽しいそうだね」
「はい、ジェノお姉ちゃんとサイドのほっぺたは、ツルツルでずっとこうしていたいです」
「あははは、それは2人が困るんじゃないかな?」
「あれ? 困りますか?」
そう言ってセーラは、ジェノとサイドの顔を見る。
「お姉ちゃんは困るわ」
「僕も困るよ、セーラお姉ちゃん」
「ええ~本当?」
そう言って悲しそうに2人を見つめるセーラ。セーラの表情を見て、困った顔をするジェノとサイドだが、セーラがその表情を見ると笑顔になる。
「ごめんね、2人とも冗談だから気にしないですね」
そう言って舌を出すセーラ。4人が家族の様に話しをしていると、突然に王宮内の雰囲気が変わる。
その気配に気づき4人は顔を見合わせる。
「何かあったのでしょうか?」
「サイド、お2人とここに居なさい」
「はい、ジェノさんお気をつけて」
「セーラ様、シュウダ様、様子を見てまいりますので、お2人は私が戻るまで決して部屋から出ない様お願いいたします」
「ジェノ気をつけて」
「はい、ジェノさん」
ジェノは2人の返事を聞くと部屋をでる。
数分後
コンコン
「ジェノです、ただいま戻りました」
「どうぞ」
シュウダが返事をするとジェノが部屋に入る。
「ジェノ何かあったのですか?」
部屋に入ったジェノの表情が、あまり良くなかったために、セーラが尋ねる。
「いえ、問題と言いますか……まだ、確実な話ではないのですが……」
そう言ってジェノは王宮内の異変を話はじめた。
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