第17話
急に体から力が抜けた。汚染率は……47か。これは死んだな。残り時間はどれくらいだ? 敵にあれだけぶん殴られて、リンクが切れなかったのが不思議だ。我ながらよくやった。フラフラになりながら、スラムに向かって俺は飛ぶ。
一番高いビルの上にみんなが集まっている。俺が到着すると、キダ君が駆け寄って来た。
「カジハル、汚染率は?」
キダ君が涙を流している。
「47まで行った。まあ仕方ないよ」
俺は言った。
「あなたが行く必要は無かったのよ!」
キダ君が叫んだ。
「カジハル……済まなかったな」
ブラスタが険しい顔をして言った。カイナも神妙な顔つきをしている。
「俺は別に。それよりオヤジさんに感謝しろよ。まさかだったよな? おいしい所、全部持っていかれたな」
俺は笑った。
「オヤジは戦場で死にたいと常々言っていた。それがかなって本望だったろう。しかしお前は……」
ブラスタが怒ったような表情で言った。
「悪いけど、髭面のオッサンと話している暇は無いんだ。早く解散しようぜ。人生の最後は愛する人と過ごしたい。なんてな?」
俺は言った。
「カジハル。お前の名は、東の貴族の歴史に永遠に刻まれるだろう。ではさらば!」
ブラスタがかしこまって言って、凄いスピードで飛び立って行った。他の貴族や奴隷たちも一礼して、ブラスタに続いて飛んだ。
「カジハルさん……」
カイナが何か言いたそうにしている。
「サイカをよろしくな。ちゃんと構ってやってくれよ」
俺は笑って言った。頷いて、カイナが飛んでいった。
「さてキダ君。名残惜しいけど俺、そろそろ戻るよ」
「早く行きなさい。サイカちゃんの事は心配しないで」
キダ君が言った。
「うん。ありがとう」
俺はそう言って、自分の街へ向かって飛んだ。
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