第6話

外出禁止令。


混乱に乗じた犯罪を抑止する目的だというのだが―――やっぱり怖いもの見たさや、イヤイヤ期の人達には逆効果であった。


街では、強盗と警察の攻防など。


ちょっとの混乱はあっても、冒険者ギルドと研究機関の圧力のおかげで、すべてが、順調だった。世間一般では大した混乱もなく、誰も彼もが 家に 引きこもっている。



まるで映画でも観るように、

自宅で水晶を使ったプロジェクターに噛り付いているのだろうか?



いまから始める 作戦は 傍観者のような見てくれてかまわない。

ただ、俺の転職が掛かっているとだけ言っておこうか。


ふふ。


多くの報道陣、カメラマンが作戦現場に集まている。

世界をかけた命運が、いま、動き出すのだから当然だな。


ふふふ。



キレイな顔のお姉ちゃんが、俺を指差して言うではないか。


「ご覧ください! まるでのようです!」


―――ちょ、言い方!?


多くのカメラマンが、こちらを撮影してくる。

オレンジ色の防寒着を着た俺が、愛想よく手を振って応えたのだが、

本音と建て前くらい、使い分けろよ。


( 縁起 わるいやんッ!? (;´Д`) )


ふふ。


もう一度だけ、言っておこう。

 これはあくまで転職活動なのだ!


おや?

どうやら、記者会見を開くようだ。


サングラスのおっさんが、俺を呼んでいる。

モリタカズ―――なんとかさんだ。


俺は『氷のUFO』の前からおっさんのいる方へ移動した。


ふふふ。 顔がニヤけてヤバいな、これは。


「こっちこっち! 断頭台に登ってきてくれ」


JESUSッ!!


その言葉に肝でも冷やしたのか、

慌てたロマンスグレーのおっさんがグラサンに耳打ちをした。


「そうそう。

 断頭台ではなくて、壇上だったな。

 フッ。最近は、物忘れがひどくていかんな」



などと、恰好をつけて言い直しても、報道陣がザワつきはじめる。



「すみません! この作戦は失敗するのでしょうか?!」

「おい、聞いてないぞ! 絶対に成功する作戦じゃないのか?!」

「世界の破滅は止められないのか!!」



ほらみろ、大混乱だ。



「心配には及びません!

 この作戦が無駄に終わったとしても、次の案はあります!

 隕石によるファーストインパクトなど、起こりようがありません」


ロマンスグレーのおっさんが、割って話す。

するとどうでしょう。報道関係者は静まりかえるではないか。


いや?

いやいやいや。


それ 死亡フラグじゃん!?

次の案なんて、ありませんよ~



驚いた俺を気遣ってか、リポーターの女性が結婚を申し込んできた。

「もし、成功して帰ってきたら。わたし、あなたと一緒に暮らします!」

「あ、ズルい! わたしも!」

「「「「「わたしも」」」」」



これは。。。

『ハーレム ルート』キターーーーーー



「お嬢さん方、心配には及びません!

 かならずや、結婚しましょう!!!!!!」


「誰とだよ」とロマンスグレーがつぶやく。


お前じゃねぇよ、と思いながら報道陣に向けて大きく両手を振る。


あれやこれやで 挨拶が終わり。

研究者の人達と握手を交わして、抱きしめあった。

きっと、この人達と隕石を破壊するのだろう。

よわい50年。

諸君! これが、本当の冒険だ!


いざ、乗り込む‼


ん?   俺以外、乗り込まない?



赤炎せきえん残嘩ざんかの焔が舞う―――――」


あ、こっちの用事だったのね・・・。


どうやら、詠唱が始まったようだ。

極大火力でUFOを推してくれるようだが、この人たちは水素を知らないんじゃなかろうか? そんな威力の魔法で点火されて、水素タンクが 爆発でもしたら………… だよ? 俺が (´▽`)



「来たれ、風鳳ふうほうの神。来たれ、雷凰らいおうの神よ――――」



あ、どうしよう。…………ドアが閉まらない。

そりゃ、凍っているんだから無理か。設計ミスだな。うんうん。


「ちょっと、勘――

「OKッ! 点火します!」



ゴォオオオオオオオオオオ!!!!!!


轟音とともに、氷のカタパルトを勢いよく滑走した。

もう、耳が痛いのなんのぉー



「………………………………………

 ……………………………………………現場からは、以上です」


 ◇


隕石衝突まで、あと『1日』!!


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