第3話

あれから、何年 経過したのか? オッサンには分からない。

なにせ、若かりし頃と比べて時間という概念が薄れてきているからだ。


それもこれも、ぜんぶ。

子供にも恵まれなかったからだ。


端的にいえば、嵌められていたのだ。

登録した婚活サービスは、すべて詐欺だった事が、

20年くらい後に『発覚』した。


国家機構刑査けいさ隊が、5件の詐欺容疑を公表したのだが、

どれもこれも、俺が登録した婚活サービスだった!


お見合い相手は、ほぼ サクラだったようだ。

男性と女性の登録者の割合が 9:1 を振り切っていたのが、

犯罪行為へと走らせたとか どうとか―――。



それでも、ゆるせんッ!!



あ? 刑査けいさ隊とは日本国でいえば秘密警察のような組織だ。





で、、、、、。 どこまで話したっけ?



まぁ、アレだよ。


五十路(いそじ)を越えたオッサンは、

確定申告をしに、国家機構の 市役所的な場所に来ていた。


この世界では、


1年を通しての給料報告 と 魔力検査が同時に行われている。

魔力検査は、身体測定に健康診断の兼ね合いもある。


魔力が濁っていれば、病巣を抱えている可能性が高いのだ。


まれにだが、特性魔法が 気づかない内に 変わっている事もある。

今まで出来ていた仕事が、急に出来なくなるのは こういった事が原因な。







で、、、、、。 どこまで話したっけ?




そうそう。


地球で学んだ ウソくさい科学を信じて、

老後の健康のためにも “健康歩道” を 毎日10分間も踏みしめてきた俺なんだが、

知らない間に水属性の魔法レベルが、国家最高の氷剣使いを超えていたみたいだ。


市役所の人が驚いていた。


どうやら、俺だけ “健康歩道” で レベルアップしていたらしい。


なにせ、これ以外はトレーニングなんてした事もないのだから。

きっと、これが起因しているのだろう。


この世界に転生して50年と数カ月。。。



「――ついに、俺の時代が来たようだァ!」



 俺は高らかに、拳を掲げた!



手に職がなく、底辺のアルバイト生活。

……と、親からの遺産生活 で、、、、、。



  どこまで話したっけ?


「あのぉ。現在は、どのような お仕事をなされておりますか?」

恐るおそる、若い姉ちゃんが話しかけていきていた。


見上げれば、拳を高らかに挙げている。

チョー 恥ずかしいじゃん!


「あ、いや……。

 路上や露店などの清掃作業をして暮らしております、です」

「えッ!?

 これだけの魔力をお持ちなのに・・・」


「……はい………」 


「あぁ!? 都会の掃除屋スイーパー的な!」


なにやら合点しているのを見ると、本当に申し訳なくなってしまう。


「・・・」

「やっぱり、周りに知られてはいけない ご職業 なんですよね」


キラキラとした瞳を向けられても、返答は出さねばならぬ。


「……違います……」チョー 気まずいじゃん!


「あの? ひょっとして、

 わたし、このまま消されちゃったりしますか?」


(なに言ってんの、このひと?)


「しません」

「ですよね~。

 でも、素晴らしい魔力をお持ちで!

 きっと上層部から研究機関への打診があると思います」 


「はぁ」

「アルマゲドンがこの星に近づいてきているって噂、ご存じですか?」


「R曲げ小西ドン?」


 最近、そんなドラマをやっていたような?



いや?


いやいやいやいや!?


転生前に観たぞ。 そうだ!

リマスター版を4DXで観たじゃん!


「アルマゲドンって、あの、隕石のことですか?」

「はいッ!!」



どうやら、


こちらの世界でも


『恐怖の大王』が降ってくるようだ。



 ◇ つづく

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