第2話

“健康歩道” の開発に1ヶ月。


会社へ出勤することも忘れて、トライ&エラーの日々はつづいた。

郵便ポストに『解雇通知』が入っていたことを知ったのは、理想を『妥協』にした後だった!


「なんでだ、、、なんでだよ、店長ぉおおお!!!」



当然のことであった―――。




この世界には、電話という技術はあまり発達していない。


なぜなら、『念話』という便利な魔法があり、通信周波数帯を記憶していれば 誰にでもお手軽に通話が出来てしまうのである。最近では、個人が念話会社が開発した『誰にでも簡単に通信周波数帯を登録できる‐オートマトン‐』という小型水晶パネルが販売されている。


ちなみに、俺は授業をサボっていたので『念話』の概念が分からずに使えない。

(そういう人もいるので『郵便局』だけは、この世界でも商っていたのである)


「まぁ、よい――」


そうだ、俺には秘策がある!



この完成された“健康歩道”があれば、“逆たま※1”も夢ではない!(たぶん)



結局、庭に『 大地フィールド 魔 法 』を使って 小石を土で固めてこしらえたのである。この発想に行きつくまでに、多くの物を犠牲にしてしまった・・・。

材料費をケチって、雨水を部屋にいて凍結魔法で加工した意味がなかった。



『雨ごい』という“禁忌のまじない”にまで 手を出してしまったじゃないか!



この世界では“まじない”は非魔法的であり、根拠のない詐欺だと言われている。


ちなみに、水・風・土・火の中級魔法は 小学生を卒業するまでには 習得しているもので、『念話』は “道徳的”な観点から 中学生から習得に向けて勉強し始める。小学校でしっかりと勉強してこなかった連中は、このあたりから落ちこぼれ始めるのだ。


とにかく明るい俺は、“健康歩道” を踏みしめながら、『無職』として自堕落な生活へと「重大な一歩」を 踏みはずして いたのである・・・。



◇  ※1・・・男性版・玉の輿

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