3.展開
「分かりました」
結城は八城の話を遮ると、もう一度、ホワイトボードへ向き直った。
「でも、八城先生。この七海君のノートですが・・僕にはどうしても分からないことがあるんです」
八城が結城を見た。
「結城先生。それは?」
結城はホワイトボードに箇条書きを追加しながら、八城に聞いた。
「まず、第一は13日の金曜日のことです。イエスが処刑されたのが13日の金曜日だと言われていますが・・どうして、イエスが処刑された日が七海君のノートに出てくるんでしょうか?」
八城は首を振った。
「それは・・私も分かりません」
「そうですか。次に、13日の金曜日には『人をいくら怖がらせても許される』と書かれていますね。僕はこんな話は聞いたことがありません。S女子大では、こういうことが言われているんですか?」
「いえ。そんな話は私も聞いたことがありません。もちろん、大学でそんな噂が広まっているなんてこともありません」
「最後は、このノートによると、七海君は一度死んでいるのに・・死んでいることに気づいておらず、また綾乃君に殺されていますね。そんなことがあるんでしょうか?」
「それも・・私には分かりません。結城先生は警察と同じように、このノートが誰かのいたずらで創作だとおっしゃるんですか?」
「いや、そうは思っていません・・ですが、少し考えさせてください。それで、明日の13日の金曜日の夜は、僕も純心寮に泊まり込みたいんですが、女子寮に男性がいるといろいろ面倒なので、八城先生も一緒に泊まっていただけませんか?」
八城の顔がパッと明るくなった。
「それはもちろん・・結城先生が純心寮に泊まっていただけると聞いて安心しましたわ。もう、私、明日が心配で、心配で・・」
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