第3話 寝返るもの
ヒロはユウトと別れてから、荒廃した市街を通り抜け旧文教地区──今は黒い森に覆われて旧時代の見る影もない──の入り口へ歩いていった。
約4キロ弱、足場は良くない道だったがヒロは30分ほどで目的の場所についた。
先客がいる──長めの金髪をツインテールにしている、少々目立つ容姿の少女だ。
「
「こちらも暇ではないんですよー?手短にしてくださいね
ヒロが
黒い森は昼なお暗く、時折不気味な遠吠えが風に乗って聞こえてくる。
「…ユウトが試験受けるって……。止めたいんだ…
「………ユウトって…あぁ、あの子ですね」
「無理だと思いますよ?条件持ちですからね…周囲がそれを許さないと思いますけどね」
少女が酷薄な笑みを浮かべる。
「まぁ、一応覚えてはおきます。大事なもののために足掻いたら良いと思いますよ…
抑揚の無い言葉がヒロに浴びせられる。
耳に痛い言葉に一瞬、
「……キャラじゃないんですよねぇ…」
この世界で
その少女の足元には白いモフモフとした小さい生き物が蹲っていた。
「…お主、極悪人にしか見えんぞ」
「…私のキャラというより、借り物のキャラですよぅ」
白いモフモフとしたものが少女に話しかける。
「…お主の顔で、そう言う言い回しを聞いているとどこぞの小娘様を思い出すので辞めてくれんか…?」
蹲るそれが、げんなりとした声をあげている。
…何か思い出したくない何かを思い出したようだ。
少女は、それの間違いは訂正しておこうと思う。
「犬の言うその人に似てますけど、違う人ですよ?……あの人なら悪役こーいうのやるならこうするかなと思ってやってるだけです…」
「……我を犬って呼ぶな、小娘」
「………お互い様ですよぅ」
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