第7話 manaの3日間
「この勝負負けれないなぁ」
まなは洞窟型ダンジョン【地底の森】へと来ていた。
そこは洞窟内にも関わらず植物帯を形成しており、中は木からできる実が常に発光して幻想的な雰囲気を醸し出している。
そんな洞窟の第1層
現在存在が確認されているダンジョンの中では高難易度な方ではあるが、まなは余裕綽々といった佇まいで考え事をしていた。
この勝負……勝つには少なくとも今司が持ってる青等級【闘牛の束】を超えるレアリティの武器が必要となる。
しかし今回の戦いの土俵はあくまで装備。防具も手を抜けないんよね。
ここでうちは閃いたわけだ!
洞窟型のダンジョンへと行き、武器はドロップアイテム狙い、防具は鉱石で作ろうっちゅうわけさ!これで効率化を図れる。あ〜うちってなんでこんな頭いいんや。
まなは自分の賢さに酔っている様子である。
そんなことをしている間にも、ダンジョンの魔の手はまなに迫ろうとしていた。
まなの後方30メートルの草陰に何物かがじっと視線を向けてきていた。。
まなに赤い眼光を光らすのは地底の森の固有モンスター【
4メートルを超える巨体は木々や樹葉からできており、ところどころピンクの花が咲いている。
それは3階層あるこのダンジョンのうちの第1層のボスモンスター的存在だった。
このダンジョンは今のところ2回層への突破は確認されていない。その理由がこの森虎というわけだ。
森虎はかすかな音も立たずまなへと近づいていく。この洞窟に生息するのに適用した足裏の肉球は地面や草を踏む音すらかき消した。
しかしまなはそれに気づいている様子はない。後ろからモンスターが迫っていることなどまるで気づいてないかのように一人考え事をしているのだ。
対象への距離は残り5メートル。ここまで来ればもう森虎の捕食ゾーンである。速さを活かし飛び込めば、気付かれはしても決して逃げれるものじゃない。
4メートルの巨体がまなへと飛びかかった。
——グルァァアアアア!——
森虎の大きな爪が無事対象を引き裂いた……はずだった。
しかし森虎が攻撃を仕掛けた瞬間、その視界から捕食対象は消えたのだ。正確には消えたわけではないが、それは目で追えるものではなかった。
それではまなは今どこにいるのか。
答えは森虎の上だった。
森虎に飛び掛かられる瞬間、まなは大きく飛び上がりバク宙したのだ。本当に瞬間的な出来事だったため、森虎の視界からは急に消えたように見えたのだ。
「あんだけ殺意まき散らしながら近づかれたら嫌でも気づくっての」
——スパァァァァアン——
まなはバク宙した反動を利用して恐ろしく速いスピードで森虎を真っ二つにした。その残骸はどんどんとダンジョンへと吸収されていき、やがてドロップ品が入ったボックスと銀貨のみとなった。
まなは銀貨を拾い、わくわくしながらボックスを開けた。
「こ、これは……青等級の星3の武器だ!」
まなが手に入れたのは地底の森第1層のボスである森虎が一定確率でドロップする双剣【ネフェリ樹双刃】を手に入れた。
◇
ここで武器のレア度説明をさせて欲しい。
現在このゲームの中で確認、または推測されている範囲のレア度は5段階あるとされている。
・金等級(レジェンド)
まだ確認はされてないものの存在はするとされている。
・紫等級(ヒロイック)
海外プレイヤーにより確認された。現在の最高レア度。
・青等級(レア)
今現在ではかなりレアな方であるが、チームを組みダンジョンに潜れば低確率ではあるが手に入れられる。
・緑等級(アンコモン)
真面目にダンジョン攻略をしていればそのうち手に入るレア度。脱初心者の証でもある。
・白等級(コモン)
チュートリアル終了後にもらえる武器のレア度。
そしてこれに加えて各等級の中にもレア度が区分されている。それが星の数である。
青等級星3>青等級星1
といった感じだ。司の持っている【闘牛の束】は青等級星1のため、現在まなが最高レア度を持っているというわけだ。
◇
その後もまなは鉱石をほりほりしたりモンスターを倒したりでそれなりの防具はそろった。
「ふぅ、こんなものか…」
———————————————
まなの装備
武器:ネフェリ樹双刃(攻撃力:27)
防具一式:森のアルカナ装備(セットボーナス:木属性武器のダメージ増加)
———————————————
いやぁうち頑張ったわ全部青等級に揃えれたし。ていうか流石に防具一式揃えるのは疲れた……
まなはゲーム内なので汗はかいてないものの汗を拭った。
よし、みんなと会うまではしばし休憩しよう。
『ユーザー名"mana" ログアウトを確認しました。』
◇
まなはVRゴーグルの電源を切り外した。
「ん、んん」
まなは体を伸ばし、ふぅと一息つく。
綺麗な太ももまで届きそうなダボっとしたTシャツのシワを伸ばしながらカップラーメンを作り出す。
「今日は猛虎タンメンだ!」
そう嬉々と独り言を言いながら3分という長い長い時間が経つのをルンルンしながら待っていた。
カップラーメンばかり食べるのは健康に悪いしやめてほしいものだが、これを食べるために本人は他のところで栄養には気をつけているらしい。
まなは自分の3日間の頑張りを讃えて麺をすすった。
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