第3話 サービス開始

 

今日は事前登録人数が全世界で1億人突破したRPG【アポカリプス・ナイフ】の発売日である。


昨日は俺、ばる(balulu)、他二人の4人のグループチャットで盛り上がったもんだ。ほんと寝れたもんじゃなかったぜ。今までFPSしか興味なかったけど、内心ちょっと楽しみだ。


学校はというと急遽、発売日の今日を休みにした。登校日にしても誰も来ないことがわかっているからだろう。こうも休みにできるのは私立の強みでもある。


さっそくいつものところに買いに行くかぁ。


ちなみに俺は事前登録をしていない。この場合、手に入れようと考えたら店頭に数時間は並ばないといけないし、それでも手に入るかどうかだ。


しかし俺には協力者がいるのだ。それは"limit"という会社である。


ZONE DAYを始めた時から様々なプロチームに誘われたりしたが、自分的に顔を世間に出したりゲームに縛られたりするのは望んでなかった。


そんな時に俺の思ううがままの条件を飲み、支援してくれると言ってくれたのがlimitだ。今でも彼らには感謝してもしきれない。


そんなことで今日はlimit直営の販売所に行きまっせ。



――カランカランカラン――


重いガラスドアを開ける。そこには古いゲームから最新のものまでそろった店内と見慣れたお姉さんがいた。


俺はすたすたとそのお姉さんの前に行き、見つめあう。


「5月3日」


そう言うとお姉さんは大人びた笑みを浮かべた。


「こんにちはend。いや、司くん」


「この合言葉いりますか。もう顔覚えてるっすよね…」


5月3日というのはこのお姉さん、あさひさんの誕生日で、おれがend

であることを証明する合言葉なのである。


「ふふっ、いつ司くんの皮をかぶった悪い人が来るかわからないでしょ?」


はぁ、そんなホラー展開現実じゃ起きるわけないでしょ。と言いたいが口に出すとフラグみたいになって嫌なので敢えて言わなかった。


「まぁとりあえず本題なんすけどーアポナイあります?」


「もちろん押さえているわよ。それにしても君がRPGに手を出すとか珍しいね。」


「友達に誘われたもんで」


俺がそう言うと、旭さんはなぜか安堵したかのような表情を浮かべる。


「き、君にも友達がいたのね……お姉ちゃん安心したわっ」


友達くらいいるわ!まぁネッ友だけど、、でも友情にリアルもネットもない。俺はそう思っている。


旭さんはふぅっと一息つき、髪を耳にかけ司を見る。


「また本社のほうにも顔をだしな?社長会いたがってたよ。」


そういや社長とは最近会ってないな。近々顔を出すか。


「わかりました。時間あったら伺います。」


旭さんはニコッと笑う。


「はい、欲しがってたのどーぞ」


司はアポナイを手に入れた!!


「本当助かります。また来ますね。」


「うん、待ってるね。」


そう言うと旭さんは手を振り送ってくれた。





司は激チャリで家まで帰り、速攻で部屋着に着替え、爆速でゴーグルを起動しアポナイのカセットを差し込む。


なぜこんなに急いでいるかというと、バルたちとのゲーム内での待ち合わせ時間がもうすぐに迫っているからだ。


焦っている。しかしこんな状況でも新しいゲームを始めるときのこの高揚感ってのはたまんねぇ。


ここから始まるんだ、おれのRPG生活がよ!!!


――【apocalypse・knife】――


来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


司の目の前には今までのゲームでは見たことのない、明るい緑が生い茂る草原、水のきれいな中世ヨーロッパを彷彿とさせるお城、趣深すぎるお寺。


どれをとっても司には新鮮なものだった。


き、きれいすぎる…ぜんぜん血生臭くない……


司はゴクリと唾を飲み込む。



いざ!アポカリプス・ナイフの世界へ!!!

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