第1話 宴道司

「はぁぁぁぁぁあ、学校疲れたぁぁ」


司はリビングのソファーに前方2回ひねりくらいして飛び込んだ。


奮闘して買ったちょっと高いソファーは、いつも疲れた俺をやさしく抱きしめてくれる。


両親が海外へ行って約二年、最初は不安だった一人暮らしも今じゃ心地いい。


パパッと風呂に入り部屋着に着替えて夜ご飯を何にするか考えていると、ふとニュースが耳に入ってきた。


「ニュースの時間です。謎の男【end】、人気ゲームZORN DAYの連勝記録を2400に更新。専門家の意見によると、無駄のない動きに圧倒的なエイム技術、常人には考えられないキャラコンや徹底された地形把握から、コンピュータ説はほぼ確定———」


(またこのニュースかよ…俺コンピュータ説確定みたいな流れになってる)


宴道司、またの名をend。ただただゲームを楽しんでいた男子高校生は、いつしか世界最強の男と呼ばれていた。


確かにそれほど俺が強いってことではあるけど、、人として褒めてほしいな。


――ピコピコンッ――


司のポケットから軽快な音が聞こえる。


ん?誰からだろう。


[おーいendー、昨日ぶりー]


なんだよbaluluかよ。昨日ぶりってまだゲーム一緒にしてから24時間も経ってないから今日ぶりじゃん。


end[まだ今日ぶりだよ(笑) どしたのー?]


balu[いや、本日をもって俺たち会って2年迎えたなって思ってさ]


そういやもうそんな経ったのか。baluluとは2年前、俺がたまたまランダムマッチやった日に味方にマッチして以来ずっと仲良くしてるよな。それまでは基本一人でゲームしてきたけど誰かと一緒にする楽しさを教えてくれた数少ない友人だ。


end[確かにー。仲良くしてくれてありがとなー]


balu[おぅ、これからもよろしくなー。]


友達と仲良く居続けられることはいいことだ。高校ではあんまり表立つタイプじゃないから、お恥ずかしいことに友達と呼べる友達はいない。

いや、そんなこたぁいいんだ。さて夜ご飯と。


「続いてのニュースです。ゲーム業界の3大企業が連結し共同開発したRPG【アポカリプス・ナイフ】の発売を本日発表しました。あの崎山財閥全面協力のもと、仮想空間面積やグラフィック、世界観などどれをとっても史上最高の出来である今作は———」


——ピコピコピコピコピコピコンッ——


え、なになになになになに?


balu[おい……今のニュース見たかよっ]


end[うん。見たけどスタ連はしてくんな?]


balu[そんなこたぁどうだっていい!]

[アポカリプス・ナイフ…やるぞ!]


やっぱそうだと思った。ばる(balulu)は生粋のRPG好きだ。しかも今回のゲーム、なんと言ってもゲーム業界を牛耳ると言っても過言じゃない3大企業が一緒に作ったらしいし、、こいつが食いつかないわけない。


end[そんなことだと思ったよ。]

  [でもなぁ、RPGなぁ…]


balu[絶対おもろいから!約束する!]

[他二人も誘ってやろうぜ。]


他二人ってあいつらか、、まぁ確かに最近スクワッド系のFPSってそんなないし、また4人で集まれる良い機会かも。


end[よっしゃ、4人でするか]


balu[やったぁぁ!絶対だからな!]

[発売日1週間後だから!]


そうして宴道司ことendはRPGの世界へ行くことになった。


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