第8話 旅立ちの準備
二人のようにうまくいかず悠樹は落胆するもひとまず使えたもうひとつの魔法を試す。
(ヒール)
全身に回復魔法をかけるイメージをすると先ほどの火傷と全身の痛みが軽減されていく。
(よしなんか回復のコツが少しずつつかめたかも。)
(ラノベであるような部位欠損治療とかどうなんだろう・・・)
流石に試す気にはならなかったので他の魔法も試してみる。
(あとは水とか土?光や闇って何ができるんだ?)
水魔法は手から若干の水を出すことに成功し、土魔法かどうかは分からないが土を少し隆起させることに成功した。
(とりあえずいろんな属性の魔法が程度はともかく使えるな・・・)
(あとは繰り返して制御と威力をあげないとな。)
(バフデバフって概念あるのか?自分の身体能力は上げられたけど他人を強化できる?)
(まぁとりあえず一人でゆっくり検証できるときにでも試すか・・・)
気づくと数時間たって昼を過ぎていた。
「おーい。昼過ぎたしそろそろ戻るぞ!」
「えっ、まだそんなに時間たってないんじゃない?まだいいだろ?」
「いや、3時間以上経ってるぞ。」
「何時間化は経ってるとは思いますが、よく時間細かく分かりますね。」
「身に着けてたデバイスが使えるからな。」
「オフラインで、できること限られるからチート能力とまではいかないけどかなり便利だな。」
デバイスで時間を把握していると紫苑の問いに答える。
「え~。いいな~。でも腕とか指に何も付いてないですよね?」
茜が続いて質問する。
「ああ、まだ珍しいコンタクト型だ。本体は体の中に埋め込まれてる。」
「
(そういえばさっきの雷で故障しなかったの奇跡じゃないか・・・)
(いや、壊れない方がおかしい気もする。身体能力強化のように魔法もある程度防いだのか?)
壊れてないことに疑問を感じつつも悠樹は答える。
「どんな機能があるんですか?」
「スマホと同じことはほぼできるよ。翻訳や図鑑、辞書、メモ帳とか写真や動画撮ったりとか・・・」
全員で村に戻って村長の家を訪れる。
「ベッドのうえですまないな。全員傷はほぼふさがってるがまだ体力は戻ってないようだ。」
「バルセロナに戻るだけならできなくもないが、まだゴブリンの残りがいるかもしれないし、
体力が戻る数日はこの村で待機しようと思う。そうだとりあえずこれを渡しておく。」
ダーレー隊長から革袋が渡される。報酬の金かと思い開いてみる。
「これは?」
「今朝、村人にお願いして回収してもらった魔石だ。」
「礼も込めて拾った分は全部ソーマ殿に受け取ってもらいたい。」
「ありがとうございます・・・その開拓村暮らしで色々疎いのですが相場とか使い方は・・・」
「魔石は道具の動力で使うのは分かると思うが庶民が使うのは普通のゴブリンの魔石以下のものだな。」
「換金した場合はゴブリンで3000、ファイターで2万、マジシャンで10万、コマンダーで50万くらいかな?」
「なるほど・・・バルセロナの宿や食事っていくらくらいですか?」
「安い宿で素泊まりなら2000~3000 食事2食付きで5000~10000 食事は店にも寄るが庶民の食堂で500~1000だ」
「武器とかっていくらくらいですか?」
「そうか仕事を探していたんだったな。長剣は新品の量産品で50万くらいからだな。ナイフ程度なら1万くらいで買えるが。」
(まともな武器だと1、2か月の生活費がかかるのか・・・)
剣を買うか思案していると体長が4人のことについて確認する。
「ソーマ殿、後ろの4人のことについて説明してくれないか?言葉が通じないとのことだったが・・・」
「あ、まず言葉については当初4人とも分からなかったですが、二人は魔法の適性があったようで翻訳魔法によって意思疎通ができるようです。」
「何?翻訳魔法なんて今時使う人間がいるのか・・・?それより魔法の適性とは?」
「こちらは、レツとシオンという者たちですが、レツは火のシオンは雷の魔法が使えます。」
「コマンダーにもダメージが与えられる威力だと思います。」
「なに!?どういった素性の者かはわかったのか?」
「話を聞くと本人たちは別の世界の者で気づいたら村の近くにいたとのことです。」
「村長とも話しましたが異邦人かもしれません。国に届けなければと聞いたのですが、、、」
「異邦人か・・・たしかにそんな制度があったな・・・」
「すまんが実際の事例が無いため詳しくない。団長に報告が必要だ。」
「提案なんですが、私はバルセロナに行く予定だったので、魔法の使える二人を連れて、
私が騎士団に報告いたしましょうか。」
「言葉も通じない二人はこの村で保護してもらえればと思っているのですが、、、」
「いや、う~ん・・・まずそこの4人と話しをさせてくれ。」
「今していた話は理解できたか。」
「「はい。」」
「わかりません。」
「いいえ。」
「たしかに二人はどこの言葉を使っているか分からないな。」
「レツとシオンと言ったか。二人は私の言葉が分かっているのだな。」
「はい。私も自分の置かれている状況がわかりませんのでソーマさんの提案した通り大きな街に行って情報が欲しいです。」
「俺は魔法を使って魔物を倒していきたいけど、バルセロナに行ってどうなるんですか?」
「私も正直分からないが、それほどの魔法が使えるのならば悪いようにはならないと思う。」
「ではソーマ殿、二人を騎士団までお願いできますか?」
「団長宛に手紙を用意します。巡回商人の馬車が明日出発予定ですのでそれに乗ってください。」
「運賃と少ないですが路銀です。約束してた報酬は団長へ騎士団から出してもらえるように一筆書いておきます。」
「分かりました。今日は異邦人と明日の準備をいたします。」
そう言って村長の家を後にする。
「皆はとりあえずこの後自由行動でいい?」
「ん~じゃあ俺はまた魔法でも試してみようかな。」
「私もまだコントロールに慣れてないので。」
「私も使えたら嬉しいのでやってみます。」
「皆がそうするなら・・・」
4人は先ほどの川沿いに移動するようだ。
「あれ、ソーマはどこ行くの?魔法の練習しないの?」
「俺は商人に色々話しを聞きたいと思って。」
「何が売ってるか見ておきたいし。」
「たしかに気になるけどどうせ移動中にも時間あるだろ。俺は魔法優先で。」
悠樹は分かれて商人を探すと街の入り口に止められた場所をすぐに見つけることが出来た。
「こんにちは。見せてもらっていいですか。」
「ん、初めて見る顔だな。ここの村の人?」
「いえ、バルセロナに行く途中ですがゴブリンにあってもう大変ですよ・・・」
「それは災難だったな。何か見ていくかい?」
「はい、明日はバルセロナに出発すると聞きましたのでその際はお願いします。」
「そうだ、買取なんかもできますか?持ち合わせは少ないので魔石を売りたいんですが。」
そう言って魔石の入った袋を手渡す。
「ああ、買取もできるぞ。これ全部か?」
「全部で100万グロートでどうだ?」
(50万が1、10万が2、2万が10、3000が50ちょっとだから相場より少し休めか・・・)
(通貨の単位はグロードなのか・・・)
「相場より少し安くないです?買い物もするんでもうちょっとなんとかなりませんか?」
「俺たちのような巡回だと魔石はどうしても安くなるぜ。村じゃあまり売れないからな。」
「それでも結構な値を付けたつもりなんだがな。」
「すみませんでした。相場や仕組みに詳しく無かったので・・・」
「その価格でお願いします。買うものの値引きもいいので色々教えてくれませんか。」
「まぁだいたいこの村での商売は終わったから明日までは暇だからいいぜ。」
「先に100万だな。細かすぎると荷物になるけどどれくらい両替する?」
「そうですね、普段使いしやすい感じでお任せします。」
「そうか。ちょっと待ってろ。え~っと。こんな感じかな。」
手渡されたお金を数えると金貨が9枚大きめの銀貨が8枚、小さめの銀貨が19枚、大き目の銅貨が10枚だった。
(1枚10万、1万、1000、100か?大金貨が100万で小銅貨が10ってところか?)
「合ってるだろ?魔石売るってことはハンターか?」
「それだけ稼ぐんだったらパーソナルリング付けて銀行行った方がいいんじゃないか?」
(銀行があるのはいいとして、、、パーソナルリング?)
「すみません。実は開拓村から出たばかりで知らないことが多くて・・・パーソナルリングって何ですか?」
「非市民なのか。じゃあまずは市民権を得てパーソナルリングを手に入れることからだな。」
「PRは市民証明である程度大きな街の住人は皆持っている。」
「エンチャントされたリングに名前や街の住人であることが記録されているものだ。」
「村出身で市民権を得たければ街で登録しないといけない。」
「ある程度継続した収入があることと、登録料100万Gが必要になる。」
「非市民だと何か問題がありますか?」
「まぁ村だけで暮らすには問題無いな。」
「まともに街で働くには必要だな。スラムで生きるなら別だが。」
「それとさっき少し話したが商人や稼ぎのあるハンターなんかは大金を持ち運べないだろ?」
「リング同士で銀行口座のお金のやりとりができる。」
「まぁそれ用の口座と対応リングに金がかかるが。」
「ああ、銀行とか口座はわかるか?説明いるか?」
「ええっと、お金を預かったり借りたりできるところですよね。」
「そうだ。口座開設は稼げるようになってからでもいいが市民権得るのは早い方がいい。」
「さっきのが全財産か?足りないのならこの辺で魔物買って金が貯まってからバルセロナに行った方がいいんじゃないか?」
「ええっと、騎士団の方から後で報酬を貰えるそうなのでなんとかなると思います・・・」
「そうか。ハンターもたしかPRに登録することがあったと思うから何にせよ手に入れた方がいい。」
「ありがとうございます。では商品を見せてください。」
「この剣とナイフ、革袋と、非常食と、水筒と、、、これでいくらですか?」
「全部で13万だな。」
「13万?剣はもっと高いと思ってました。安いのは中古だからですか?」
使い込まれた剣だったので安いと思ったが想像以上に安かった。
「ああー、これは所謂拾い物だな。戦場とかダンジョンで死んだやつの遺品だ。」
「なるほど・・・では13万で。」
前に誰が使っていたか気にする余裕は無く安いもので最低限準備を整えた。
「それではまた明日お願いします。」
「ああ、明日の明け方村の入り口で待ってる。寝過ごすなよ」
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