第5話 再会(1/4)
「リリーシア・マクレガー、授業終了後に進路相談室に来なさい。」
「・・・承知しました。」
(えぇ、何かやらかしたっけ?)
私はサルニア帝国立大学法学部に通っている。最高学年の今年度までの成績は首位で、このままならば主席卒業できるはずだ。大学の成績は優5点、良3点、可1点で計算され履修した科目が多いほど成績が良くなる。私は法学部なのだけれど卒業に必要な単位を取れていれば他学部の科目も履修できることを利用して薬学部の授業も出ているので履修数が多いから1位を取れている。
つまり、私が一番頭がいいから主席なわけじゃない。
我がマクレガー家はサルニア王国時代から続くアマニール侯爵家の分家で、父は子爵位を
兄弟は兄が2人と姉が1人いる。長男は跡取りで次男は運良く筆頭貴族である本家のアマニール侯爵家の養子となった。アマニール侯爵家は娘が1人いるだけで他に跡取りがいなかったのだ。アマニール家は現当主が私の伯父(養子)なのだが、本来は直系の父が継ぐはずだったのに何故か今の爵位継承となっている。どのみち、父の次男が後を継ぐので正しい継承に戻るわけなんだけど・・・。
姉はスタテン伯爵家の次男と恋愛結婚して家を出ている。
話は逸れたが、4兄弟全員が・・・もっと言えば両親も全員サルニア帝大卒の高学歴ファミリーで、その一員な私。
そんなエリート一家末っ子の私が何の不手際を?
「まさか、履修届を出し忘れていた?!」
あり得る!履修届を出し忘れる夢は大学に入ってから5回も見ている。ちなみに長兄も何度か見ているらしいんだけど、卒業して3年以上経ってもまだ見るらしい。寝起きにパニくる地味に恐ろしい悪夢が正夢になってしまったのだろうか。
5年間の大学生活も残り4ヶ月だ。卒業後は隣国のパリシナ王国の法科大学院に進学することが決まっている。パリシナ王国は大陸の中で最も早く法整備を行なった国で司法関係に進む多くの学生が留学するのだ。サルニア帝国にも法科大学院はあるが、リリーシアは家業のために国際弁護士になるのが目標だ。
(履修届出し忘れ=卒業できない=大学院入学取り消し・・・)
卒論以外の法学部の単位は去年取ってしまったので、本当に履修届けを出し忘れているのなら痛すぎる。
「ルオンス・・・私、授業に集中できない。あとで解説して。」
「オッケー」
教授の話が全く頭に入ってこない私は、一緒に授業を受けていたルオンスに助けを求めた。
気も漫ろに授業を受け、進路相談室に行った。
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