第2話 エピローグ

かつて、サルニア国はリズモンド大陸の中堅国家であった。およそ300年前、当時の国王であったダグラス・ブルマンの指揮の元、アルーノ大陸で開発された火縄銃を大陸でいち早く取り入れて改良し、サルニア王国は連弾式の銃を開発した。さらにその技術を応用して殺傷力の高い大砲を開発し、リズモンド大陸で勃発した大戦を制して大陸の6割強を領土とする巨大国家となった。ダグラス王はサルニアを王国から帝国とし、初代皇帝となった。

時は経ち帝国歴148年にサルニア帝国で初めての女公爵が誕生した。彼女の名前はアリアテーゼ・ワイマール。元々は皇太子の婚約者であったアリアテーゼは、第三身分出身の少女に夢中になり、彼女を貶めようとした皇太子を彼の叔父と数名の貴族と共に断罪した。その際に奴隷解放と人権平等を求めて、後に宣言を出した。皇太子の妹を立太子させて、公爵位継承をする予定だった実兄を皇配に据えた。

彼女は領税を貴族が私的に使うことを良しとせず、領税は領の運営に使い、貴族家門の生活費は各自が事業を興して賄うべきだと主張した。彼女の考え方は数十年かけて帝国中に浸透し、事業を行っていない貴族は皆無となった。

さらに時は経ち帝国暦272年、アリアテーゼの子孫であるワイマール公爵家がWeimar Business Machine (WBM)社を立ち上げ、世界で初めて基幹きかんシステム向けコンピューターのメインフレームとデータ保管用のストレージを発売した。これを皮切りに大手企業のシステム化が進み、帝国暦283年にはサルニア帝国大学の卒業生3名が開発した超高速計算機のスーパーコンピューターが発表された。コンピューター機器の登場により各産業は急速に発展した。

そして現在は帝国暦302年。技術の発展は進み、バルテノクス侯爵家を中心としたプロジェクトで308年には衛星アルネへ世界で初めて有人宇宙飛行することが発表されている。

アリアテーゼ以来、ワイマール家は皇家ブルマン家よりも強大な権力を有しており、サルニア帝国の影の権力者はワイマールであるということは世界中に認識されている事実だった。

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