35,その献身は何ゆえに
「
架空熱暴走。確か、架空塩基が
「クロノの病気の
「異能の、暴走?そんな
「ああ、俺だって聞いた事がない」
この時代では架空熱暴走はさほど
だが、それは一体何なのか?現状全くの
「えっと、それで……クロノ君の病気は
「…………」
「ツルギ君?」
ツルギ君の沈黙に、
そして、やがてマキナが話し始めた。
「遠藤クロノの病気自体は十分に治る
「死っ……」
私は頭を鈍器で
死ぬ?クロノ君が?私に、血を
……私が、
そんな私を、ツルギはこつんと軽く頭を
別に、
「まだ
「っ、それは?」
身を乗り出して聞く私に、ツルギ君は片手で
マキナは黙って一つの
「その花から処方された
「じゃ、じゃあっ‼」
その花は何処に?そう聞こうとした私に、ツルギ君は
「……
「金獅子……」
金獅子……この近辺の花園に生息する準王級の怪物種。危険度こそ
戦闘力のみで考えれば、旧アメリカに生息するゲオルギウスの配下である二体のドラゴンにすら匹敵するだろう実力者だ。恐らく、単独で島国を
それほどまでに、
しかし、尻込みしている
「……どこに行くんだ?」
急に席を立った私に、ツルギ君は静かに言った。恐らく、私の
「花園へ……金獅子に頼んで一輪ほど
「
「うん、でも私は今クロノ君を
「……それは、」
「?」
「いや、良い。もう
「……うん」
そのまま、私は部屋を出ていった。
・・・ ・・・ ・・・
ユキが医務室を出て言った後、マキナが俺に聞いてくる。
「良かったのですか?マスター。彼女を
「……良くはないだろうな。ああ、きっと良くはない筈だ。だが、」
「だが?」
「今でも俺はきっと
「……そうですか、
「優しいのかな?やっぱり分からねえや」
分からない。そう、俺には分からないのだ。俺は一体、どうすれば良いのだろう?
どう判断するのが
とても
・・・ ・・・ ・・・
集落の門前に行くと、其処には既に二人の先客が居た。何時も門番を
エリカとアキト君の二人だ。
「ずいぶんと
「えっと、
エリカの言葉に、私は思わず聞く。そんな事、分かり切っているだろうに。
私の
「ユキさんこそ何を言っているんだ?そんなの、金獅子の花園に決まっているじゃないか。クロノの奴を
「っ、
そんな私の言葉に、エリカとアキト君は共に呆れたように肩を
「それこそ、今更の話だな。今から
「ぐっ……いや、それでも」
「それに、私達は
「……エリカ」
「姉さんの言う通りだ。ユキはいつも一人で頑張りすぎなんだよ。それはクロノにも言えた事だけど、だからこそ俺達だって
「……アキト、君」
泣けてきた。こんなにも、自分の事を
私は星のアバター。人類文明を
……やはり、二人には悪いけれど。
「けど、やっぱり―――」
「ああ、やっぱり二人は帰ってというのは
「あぅっ」
「私達はさっきも言った通り、巻き込んで欲しいの。それは私達の我が儘だよ?私達は私達の自己満足を
「そ、それでも……」
「ほらほら、さっさと行かないとヤスミチさんに
「…………分かっ」
「……ほう?止めると分かっているのに行こうとするのか?」
皆揃ってびくりと
「さあ、ユキ行くぞ!さっさと行かないとクロノが
「さあ、ユキ行くよ!クロノ君の為にも‼」
「え、ええっ⁉何その
「「レッツラゴー‼」」
そう言って、エリカとアキト君は私を
気付けば、私達は金獅子の花園へと来ていた。目の前には、金獅子の姿が。
私達に気付いた金獅子は、
「貴様等、しょこりもなく我が
唸り声を上げる金獅子に、私は頭を下げて
「まずはごめんなさい。私は此処に花を一輪恵んでもらいに来ただけなの」
「ならん、例え
「っ」
星のアバター。その言葉に、私は僅かに
どうして?そう思う私に対し、エリカとアキト君は言った。
「ユキ、今はそんな事気にしている
「そうだ、クロノを
「う、うん……」
「そうか、どうあっても
瞬間、金獅子の
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