7,闇と罪
そして、夜の11:30を過ぎた頃。ようやく俺は
流石に延々とあの姉弟のノロケ話を
屋上には小さな
崩壊前の文明には酸化や風化を
それでも、これほどの
俺は、落下防止の為の簡易的な
夜空には満天の
そう思い、俺はやがて
理由は分かっている。文明が滅びて一体どれほどの時が
必死に生きて、そして死んでいった。
俺は、僅かに眉間に
「兵どもが
一体、どれほどの人がかつての文明に想いを
皆、必死に生きている。必死に生きて、そしてその中で死んでいったのだろう。
「こんな所で一体何をしているの?」
そう言って、背後から近付いてくる人が居た。ユキだ。
振り返るとユキが
「……そういうユキこそ、何時から
「来たのはたった今だよ?」
不思議そうな顔でユキは答えた。そうか、と俺は視線を戻す。そんな俺の隣に、ユキはそっと柵へもたれ掛かり俺に笑みを向ける。思わずドキリとしそうな笑顔だ。
そんな俺に、ユキはもう一度同じ
「で、こんな所で何をしてるの?」
「星を
「……それだけ?」
「……それと、この
この世界の人達の事。文明が
ここでは一体どれほどの人達がどれほどの想いを
きっと、何も考えていない事などあるまい。何も思う事もなく生きる事など、この世界では恐らくありえないだろう。きっと誰もが何かを思い、必死に生きている。
必死に生きて、生きて、そして死んでいく。きっと、そんな世界で俺は
異分子で、
そんな事を考えていたら、ふいにそっとユキが俺を
「大丈夫だよ」
「……………………?」
ふいに掛けられた言葉に、俺はユキの方を見る。ユキは穏やかな笑顔で俺を見ていた。その笑顔に、胸が高鳴る。素直に美しいと思った。
そして、それ以上に彼女の瞳は俺の心を全て
「大丈夫、クロノ君は決してこの世界の異分子なんかじゃないよ。きっと、この世界にとって
「それ、は……」
「クロノ君はきっと
そう言い、ユキは俺の頭を優しく
そして、俺は今の気持ちをごまかすように聞いた。
「ユキは、一体何を思って今の時代を
だから、こんな事を思わず
ああ、本当はこんな事を聞くべきではなかったのに。こんな事、本当は口が裂けても絶対に聞くべきではないのだろう。それなのに……
それなのに、俺は思わず聞いてしまった。後で激しく
「………………………………」
「ユキ?」
何処か、
悲しげな表情で呟くように、或いは
「……私、には…………わ、私には。
「え?」
罪、と彼女はそう言った。ユキは、自分に罪があると。
罪とは一体何なのか?いや、そんな事より……
「その罪を
泣きそうな、実際に泣きながら。何かに
ああ、きっとこれはユキの
「わ、わた……私は…………」
「もう
「っ‼ご、ごめんなさい……」
「いや、良いよ。俺こそごめん、流石に
その言葉に、ユキは僅かに首を横に
「……え?」
思わず、俺はユキを
きっとこれは
こんな、取って付けたような笑顔を
「……………………っ」
「……っ!ご、ごめんっ‼」
ついに
黙って、その場に
「何をやっているんだろう、俺」
それに答えてくれる人は、
・・・ ・・・ ・・・
しばらく走った後、私は高鳴る
「う、ぅうっ…………」
どうしてこうなったのだろうか?分からない。けど、それでも私の胸が激しく鼓動を打っているのは事実なのだろうと思う。この胸の鼓動は一体なんなのか。
どうしてこんなにも顔が
「あんな事、
知らず呟いた言葉に、私はようやくそれに思い至った。そして、同時に
ああ、そうか。私に対してあんなに強く
私の
「きっと、私はそんなクロノ君に
そう、私はクロノ君に嫌われたくないんんだ。
……何て、
ああ、だからこそ私は
・・・ ・・・ ・・・
「……………………」
白川ユキ。彼女が涙し泣きじゃくる姿を見詰める
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