4,アイン=ソフ=オウル
……暗い。暗い。何処までも暗い意識の
何も考えられない。俺はただ、意識と無意識の
このまま、意識と無意識の境界線を漂っていく。このまま何も
瞬間、俺の意識を力強く
『おい、いい加減起きないか?
……そう、声を掛けてくる者が居た。宿主?
その声に意識が急速に
其処は眩いばかりの
光り輝く空間。其処はそう
静かで暖かい空間だ。何故か
少なくとも、俺自身はそう
「此処、は……?」
『
声は周囲一帯から
俺が
それはまるで真の
そんな見た目だった。その姿に、俺はしばし
「お前は、一体誰だ……?」
「誰とは心外だな。俺はお前の中にある英雄像を
「俺の仲の英雄像?俺の、異能……?」
「うむ」
そうだ、とその者は頷いた。力強い、確かなエネルギーを感じる
こいつはきっと、俺の中の
「……俺の異能とは一体何の事だ?一体、何時の間にそんな力が?」
異能自体に
最初、俺はあの蜥蜴の薄皮一枚すら
その疑問に、目の前の男は
「お前がこの時代に
その言葉に俺は考える。しばし考え、すぐに答えに思い
……そうだ、俺は確かに俺を呼び
その声を聞いた瞬間、俺は力が急速に湧いてきた。立ち向かう
一体あの力は何だ?それに、一体どうして俺にそんな力が宿ったのか?
「俺の異能とは
「俺は、より厳密に言えば滅びた文明の
「……………………」
あの怪物を思い出す。甲殻バジリスク、この時代に現れた
厚くて強靭な
その生物が一体?
「あの生物も、云わば俺と同類だよ。というより、
「……それは一体、どういう事だ?」
思わず俺は怪訝な顔をして問う。嫌な予感がした。しかし、断じて問わない訳にはいかなかった。俺は、
そんな俺に、それは答える。
「滅びた文明の
……架空……塩基?
「架空塩基だって?それがあの怪物達と
「そのままの意味だ。架空塩基とは、
その言葉に、俺は少なからずショックを
俺の心が、信じていたものが、
「それは違うぞ?お前の父母にとって、この事態は本当にイレギュラーだった。それに本来架空塩基はそのような使われ方をされなかった筈だ」
「……どういう事だ?」
「何者か、悪意ある者の
言われて気付く。
そうだ。俺の両親はあの時、
何かやるべき事があると言っていた。それはきっと、この文明を
いや、待て待て。それは流石に
しかし、いやだが……
「俺は、何の
「さあな。しかし、その為にお前の父母はお前の中に俺を
あのコールドスリープ装置にそんな機能が?だとすれば、俺は
しかし、そう考えれば色々とつじつまは合う。両親が俺をコールドスリープ装置へと押し込めたその本当の理由も、俺に異能が宿った理由も、全て納得出来る。
そして、俺を守り抜こうと最後まで抗った両親の
俺との
思い出す。モニターに映っていた父の苦悩に満ちた表情と、母の
「……………………」
「俺はお前の英雄像だ。お前の意思や想いの強さに
そう言ってそいつは
「……つまり、俺の意思と想い次第で俺の力を
「無論、俺の力はお前の力。相応の意思の
「ああ、
そう言って、俺はそいつに手を差し出す。そいつも力強い笑みで俺の手を握った。
力が湧いてくる。俺の中に力が
理解した。架空塩基とは、意思のエネルギーを目に見える力に
だったら、俺はこれから何だって
「これからよろしくな、アイン」
「む、アイン?」
初めて、そいつの表情に
「お前にも名前が必要だろう?確かな
「……ふむ、
そう言って、俺とアインは再び手を
恐らく、もう目覚めの時なのだろう。俺はそのまま浮上する意識に身を
そして、俺の意識は目覚めを
・・・ ・・・ ・・・
「よもや、俺に名前を
遠藤クロノ……あの少年は今後あらゆる苦悩と苦痛、そして
ああ、だからこそ俺は願う。あの少年の未来には苦悩と苦痛と後悔が、様々な困難や
そして、やがては……
「やがて、何れは真に俺の
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