1,目覚めの時
どうして、何故……
そんな事を
どうして?何故?
繰り返し、繰り返し、思考だけが暗闇の中で
『何を迷っている
「……っ⁉」
眩く、力強い、
驚き、思考が一瞬だけ
『迷っている暇などお前には
「……けど、父さんと母さんはもう」
それ以上の泣き言は
『お前の両親はこう言った筈だ、希望を
力強く引き上げるような言葉。その言葉に、俺の意識は急速に
・・・ ・・・ ・・・
「……………………」
目を覚ますと、其処は
———そうだ、人類の
思い出し、俺はコールドスリープの装置から勢いよく
その映像に、俺は目が
しかし、何かを覚悟したのか両親は俺に語り掛けるように話した。
『クロノ、お前が目を
そう切り出した父の顔は、やはり苦渋に満ちていた。歯を食い
敗北した。そう父と母は
『俺達は遥か
『最後に私から一言。
最後に母から一言。その一言は、涙混じりに語られ俺の胸を深く
拳を握り締め、研究室を
そっと、手に取ってみる。すると、その傍に一枚の走り書きが
『本当はこんなものをお前に残したくはなかった。けど、それでも今のお前には必要な物だろうと思うから、此処に置いておく事にする。これで自分の身を
俺は黙ってメモを胸ポケットに
・・・ ・・・ ・・・
「…………これ、は」
研究施設を出て、階段を上がった直後俺は思わず絶句した。
それは、一言でいえば古びた
外はまるで古びた遺跡のように朽ち果てている。そう、研究施設はまだ綺麗な方だったのである。施設の外はもはや何も残ってはいない。朽ち果てた遺跡があるのみ。
そう、其処はただの遺跡だ。もはやかつての文明の
まさしく、兵どもが
もしや、生き残りは自分一人だけなのでは?この何も残っていない世界に自分一人のみが残されただけなのでは?
自分はただ、
そう思ったが、なんとか心を立て
両親が言っていたではないか。
なら、まだ俺が諦めるわけにはいかない。それは単なる悪あがきかもしれない。単に絶望から逃げているだけかもしれない。けど、それでも俺はまだ諦めたくなかったから。
きっと、まだ諦めるには早い筈。まだ絶望するには早い筈だと。そう心を
「まず、生き残りを
そう言い、俺は何か手がかりがないか探す事にした。と、その時……
何かが爆発するような音が
早速、見つけた手がかりに俺は勢い
「……くっ」
「げぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっ‼」
それは、
何だこれは。俺は
理由は当然、少女を
「げぎゃ?」
「おら、こっちだ怪物蜥蜴!」
日本刀を抜き放ち、俺は蜥蜴を
しかし、知った事かよ。俺は日本刀を手に笑みを浮かべた。頬には冷や汗が
「いけない!
少女は俺に逃げるよう言った。しかし、逃げる訳にはいかない。俺は刀を正眼に構え、そのまま怪物に勢いよく切り掛かる。刀の刃は怪物の
食い込んだ皮膚一枚切り
「げぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっ‼」
「ぐっ‼」
蜥蜴の
しかし、それをなんとかすんでの所で
何故、自分はそれほどの衝撃を受けて無事なのか?そんな威力で突進など
若干不審に思いながら、俺は視線を蜥蜴から
「駄目、今すぐ貴方だけでも逃げてっ‼」
そう
それだけは俺はしたくない。故に、ただ蜥蜴を
そして、そのまま蜥蜴に再度突進を仕掛けようとした。その
再び、あの声が……
『意識を集中しろ!極限まで意識を
その言葉が脳裏に響く。思考を
一閃!思考をクリアに、腰を低く落としてそのまま一息に距離を詰め、そのまま蜥蜴を断つ。今度は皮膚にさせぎられる事もなく刃は蜥蜴の首を
首に続き、今度は身体が
しかし、やがて何かに気付いたのか慌てて俺に
「大丈夫?さっき、甲殻バジリスクの突進を受けていたけど何処も
「あ、ああ……大丈夫だ。何も問題はないよ」
「そう、
心底ほっとしたように胸を
息がかかりそうな程に俺と少女は近かった。俺も急に
「ご、ごめんなさい……」
「いや、こちらこそ……ごめん」
これが、俺と少女の滅んだ世界での
そして、この出会いが後に世界を大きく
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