第8話:私の感じる疑問点 ①

 日本には労働権があるが、労働人口を見ると権利はほとんどの人たちが行使している。しかし、私はこの問題は放置するとするだけ大きなツケが回ってくるように感じる。私が労働権を問題視する背景として未就業者や非正規雇用者の雇用問題と法的待遇の格差是正をしなくてはいけないという点だ。現行の労働基準法では正規雇用は手厚い保証があるが、非正規雇用はそうではない。その上、労働賃金も全く異なるため、企業などは非正規雇用者を採用し、正社員など正規雇用を減らす傾向がある。


 ここで疑問に思うのは“同じ人間でありながら待遇が違うことで生活水準の差がなぜ生まれるのか?”という点だ。これは、働いている人からするとあまり問題視されないが、私は問題視している。


 理由として、1つ目は業務内容が同じにもかかわらず、低い賃金で働かせることが果たして良いことなのか?という点だ。これは、同じ労働内容にもかかわらず、賃金にばらつきがあるといういわば“労力搾取”や“買い叩き”という印象が強い。つまり、日本では正社員の方が強くなってしまうのだ。もちろん、正社員が全て保証されるように、他の雇用形態も同様の待遇をしかなくてはいけないだろう。しかし、法律では労働差別のような状態になっており、1度レールを離れてしまうともう戻ることは出来ない。その上、“同一労働同一賃金”が適用されたとしても格差は埋まることはないだろうし、場合によっては企業によっては採用活動に非正規雇用に重きをおく場合も少なくない。なぜなら、正社員は企業の経営や事業の存続など企業の危機的状況にならないと解雇等は労働基準法に違反してしまう。しかし、非正規雇用ではそのような縛りがなく、所定の手続きだけで解雇が出来てしまうのだ。そして、退職をさせたとしてもアルバイトやパートは離職票を必要とする場合としない場合がある。しかし、派遣社員や契約社員などは離職票を発行しなくてはいけない。


 これらの手間を考えると非正規雇用の採用が進んでいくことが懸念される。そして、非正規を使えるところまで雇用し、なんとかこの難局を切り抜けようと企業努力を重ねているが、未だに努力は実ることはない。


 もう1つ疑問に思うのは“失職者や長期未就労者などの社会的弱者に対する支援の拡充”と“適性に基づいた労働形態の在り方”がなぜきちんと整備されないかだ。私自身、就職は3回したのだが、会社が合わなかったのか、人間関係が合わなかったのか、それとも、その他に何かの要因があるのか分からないが、うまくいかなかった。アルバイトに関しても採用にはなるが、すぐに辞めさせられ、新しいところを探そうとしてもうまくいかないということになる。その結果、今はどこからも採用通知が届かず、お先真っ暗の状態になってしまっているのだ。


これは私的事例だが、同様の事例がいくつかあり、これらのファクターが及ぼす相対的マンパワーの低下により社会参加が難しくなり、社会からの排除を感じてしまう場合が多いのだ。もちろん、本人からすると「これは一般項として考えていることだ」となるが、組織などでは「それは一般項ではないし、基準項でもない」というスタンスになる。そのため、自分の意思を押し殺すか、相手を立てて自らは一歩下がるしかないだろう。しかし、それでは相手に利用されるだけされて、自らの意思を反映することは出来なくなってしまい、何が正しいことなのか分からないという孤独と葛藤が本人たちの心身のバランスを崩壊させてしまうのだ。

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