第7話:労働対価は適正なのか? ②

 だからこそ、新たに賃金の指標となる法律を制定し、労働者の暮らしを守ることが重要になってくる。特に、働きたいけど働けない人にとってはただの時間の浪費となってしまうだけでなく、安定的に就業することに対する困難を生じさせているため、他者に迷惑をかけてはいけないと思うようになる。その結果、労働人口がどんどん減少していき、人材の確保が困難になっていくことになる。その上、テレワークなどの在宅勤務の推進により、通勤などをしなくても良い職場が増えてきている。一方でテレワークが出来るようになったことで社員数を減らす企業や業績の悪化で吸収合併する企業が増加しているため、以前のような雇用状況には程遠くなる。だからこそ気を付けなくてはいけないのが、人材の処遇だ。これは、在宅勤務になったことでこれらの人員削減や業務を拡大するにも最低限の人数で運用するなど労働人口に対して雇用数が不足しているような傾向が見受けられる。特に正社員は“好人材”・“高経歴”・“柔軟な発想”と企業に対して悪影響のない人材を求めている。つまり、会社にとって有益な人材である必要があるのだ。特に現在の社会情勢を鑑みるとこれらの問題に対してかなりシビアになっている傾向にあり、企業側もチャレンジすることはかなり少なくなっている。そのため、少しでもベクトルの違う考え方やセクターにおける考え方の違いがある場合には会社から追放されてしまうこともあり、これも問題だと考えている。


今に日本で問題視しているのは人手不足の業種や職種に対して全くてこ入れをしていないことだろう。特に海外から人材を受け入れることによって国内の雇用が失われ、ワークバランスなどの社会的影響が肥大化してしまう。その結果、賃金の高い日本の求職者を雇用するよりも賃金の高くない海外からの技能研修生を雇用する方が企業にとってはメリットが多い。また、労働人口の減少が止まらない背景に“ひきこもり”などなんらかの社会的要因が関係している人の増加が考えられる。これは、日本国内では問題視されない。そのため、本人たちが頑張っても何も報われないことや辛い経験が何重にも重なることで社会参加や人的交流を含めたコミュニケーションの機会を失うことになるのだ。そのようにならないよう、徹底的なてこ入れないし支援の輪を広げるしかないのだ。特にいじめやハラスメントなど本人の精神的苦痛を強く感じさせてしまう行為が発生する事で今までの自分を否定されているように感じる。


そのため、上司などの本人以外は何でも無いと思うことが本人からすると強いストレスを引き起こす要因となることやフラッシュバックなどのパニック状態になることもある。そのような人を会社としては雇用したいとは思わないだろう。しかし、これらの問題としてきちんとした考え方や対処法を浸透させることでこれらの問題が起きても本人は安心することが出来る。だからこそ、本人が出来る事を本人の思うままに形作る事が出来る社会になることで段階的な就労形態を展開することで本人のストレスを軽減させること、自分をどのように周囲と交わっていくか、恐怖を払拭していくかを考えなくてはいけない。


 現在、離職者は多くないが、採用者も多くない。しかし、長期未就労者は少しずつ増えている。つまり、今の日本において労働人口の100%が働きたいと思うことが出来ていないということになり、なんとか働いてはいるが、どのようにしたら良いかを模索しながら働いているという方が正しいかもしれない。


 もちろん、働くことで人の役に立っているという感情は形成できるが、発言や考え方を制限されてまで組織に属したいと考えている人は少ないだろう。


 だからこそ、彼らにとって何が正しいのか、何が自分の輝ける環境なのかを幼少期から考えさせることが大事になってくるのだ。今は個人で活動することで自らのペースで仕事をして、所得を得ることが出来る。だからこそ、そのような生活に憧れる人が増加しているのだ。しかし、収入が入ってこないこともあるというリスクもあるため、一定程度の所得が維持できないと生活が崩壊してしまう。だからといって、組織に属することが合わない人は切羽詰まってしまう。


つまり、“働く”ということは人生バランスを保つことが難しい永遠の宿題なのだろう。


 組織に属することが妥当ならもう少し労働対価や適正賃金を提示する法律などを制定し、労働者が働きやすい労働環境を整備する必要がある。だからこそ、国や経団連などが積極的に動き、考えることが大事だろう。これは、個人でも同じ事が言える。組織で失敗した人が再び輝ける場所を提供し、その人の持っている能力や発想力などを活かして多くの会社とつながれるようにすることが引きこもりや体調不良により就業することが困難な人を減らすことが出来るのだろう。


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