第5話:なぜ企業に依存しているのか? ③

だからこそ、これらの問題に対してどの程度問題視しているか、この問題を認識して、どのように改善するべきなのかを常に考える必要がある。


 企業の社員はロボットではない。これくらいは出来るだろうと安易な考え方で接していると真面目な人は“上司に認めてもらえるチャンス”と思って必要以上に自分を追い込んでしまう。その結果、そのことをとことん考えすぎて追い詰められていく。そして、どんどん衰弱していき会社に行けなくなってしまう場合もある。


 今、会社で働いている人の中にはこれまでの生い立ちに対して負い目を感じている人、経験値が浅くさまざまなことにナイーブな人も多く、場合によってはHSP(High Sensitive Person)の人もいる。だからこそ、思い込みで仕事を振るのではなく、同じ目線で一定期間以上時間をかけて関係性を築かなくてはいけない。特にいじめられていた人、経験が無くて不安を感じている人など自らの今までの人生でなんらかのトラブルや悩み事が起きて自己肯定感を失っている人にはこちらから話しかけて、緊張を和らげることも重要だが、まずは相手が話してきたことを否定しないで聞き続けることが大事になってくる。これは、相手が自分を認めてくれているという認識を持たせて、職場環境における自分の居場所を確保してあげることで勤務しやすくなる。そして、生産性や視野を認めてもらうことで自らの向上心にも良い影響を与えることになる。


 “会社という組織にいる以上、会社の考え方や方針に従いなさい”という考え方を否定するつもりはないが、私は少し違うと思っている。


 これは、会社というのはいくつもの異なる考えを持った人たちが集まっている場所であるため、同じ方針を共有できる事が重要であることは言うまでもない。しかし、共有できるほどのクオリティがない場合には誰かの考え方を欲しくなる。だからこそ、人と人はぶつかるように出来ている。それが良いことなのか悪いことなのかははっきりとは分からないが、これらの行為をしたことで変わる可能性が高くなっていくという期待と希望が1つの考えを求めていく大切な指針になっていく。


 もちろん、成長するためには犠牲にしなくてはいけないこともあるが、犠牲にする事をはき違えてはいけない。特に、個性と発想力は他者が否定してはいけない部分であるという認識を少なくとも私自身はしている。なぜなら、その人のアイディアが何かのヒントにつながっているかもしれないからだ。人の考え方は会社の考え方と合わなくても状況によっては会社を救ってしまう魔法になってくる。


 だからこそ、会社に一存するのではなく、包括的にパワーを分散させてそこから必要な部分を吸い上げることで肯定的な方向に動いていくのだ。

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