第3話:なぜ企業に依存しているのか? ①

今の日本は基本的に法律に関すること以外は企業側に判断などを委ねているケースがある。しかし、このような状態が長期間にわたり定常化されてきたことにより、企業独自の暗黙の了解のような違法行為の黙認、自社規定を合法的に解釈し、仮に違法でも合法としてみなすことが一般化してしまった。これらの独自解釈が進んだことにより外部からの業務の可視化を阻み、情報開示に関しても企業に諸権すべてを帰属させているため、企業が出せる情報しか開示されない。その結果、適正に労務管理が行われているのか、適正に賃金が支払われているのかを確認するためには不定期の労働基準監督署の監督官の臨検しかない。しかし、その際に確認をするのは企業の管理しているデータのみで仮に本当の勤務時間や残業時間等が適正に実労働として反映しているかどうかの判断が出来ない場合もある。その結果、違法残業や違法労働などを見落としてしまい、その風習が定着化してしまうことで労働者の健康被害を誘発してしまい、場合によっては本人たちの健康管理ではどうにもならない事態に発展してしまう可能性もあり、いわゆる“潰し雇用”を助長させてしまうのだ。


 ほとんどの企業は当てはまらない場合が多いが、きちんと労働基準法で決められている事項や契約条件などを求人に反映させず、入社時に別途提示するケースがある。これは、求人提出時の労働契約と異なるため、本来は労働者同意の下締結することになるが、この手順を怠ったことで実条件と異なる業務をさせられたとして虚偽求人ではないかというクレームに発展してしまうのだ。もちろん、彼らの中では“このような行為は問題ない”という認識だが、場合によっては虚偽広告としてみなされ、景品表示法違反などの刑事罰に処される場合がある。しかし、その求人内容に相違があったとしても事実確認する術がないため、そのまま求人を出し、そのまま求職者に案内しなくてはいけない。これでは、場合によってはハローワーク等の職業安定所への信用問題につながっていく可能性も否定できない状態になっていき、ミスマッチングだけでなく、場合によってはその人の早期離職につながってしまう可能性があるのだ。だからこそ、企業を含めた連携や仲介するという責任と雇用するという責任をきちんと遵守し、双方がきちんとパワーバランスを適正な状態を維持し、求人内容などに相違がある場合にはきちんと企業側に訂正させることも重要ではないだろうか?


 特に、大手転職サイトや求人広告などではほとんどの企業は適正に書かれているが、ごくまれに虚偽の求人情報を掲載し、実務と異なる業務をやらせて人員補填を行う場合もあり、トラブルの一種として後を絶たない。悪質になると業務内容など掲載内容を人の集まりやすい設定にして後から本当の業種などを説明し、人員調整などを行っている場合もあるため、その求人や会社の信用などのみきわめが必要になるケースもある。

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