第2話:労務管理の在り方とは

現在の労務管理は電子データを用いて管理されている。しかし、給与明細などの公的書類にはそのデータがそのまま反映しているというが、実際のところは信憑性に欠ける事例も少なくない。特に残業管理や勤務超過など労働基準法の労働時間の規定の部分は曖昧なデータを残すことで後から追求された際に情報操作をしたのではないかと疑われる事例が多数見受けられる。特に契約事項に定められている勤務時間を遵守せず、残業時間や勤務日数などの調整や場合によっては出勤しているにもかかわらずタイムカードなどの勤怠をさせないなど違法行為とも取れる事例も数は多くないが、見受けられる事例というのは定着化してしまっている場合や会社などの伝統として受け継がれている場合もあるため、これらの違法行為が発見に至る段階ですでに隠滅等が行われている場合も多く、証拠を押さえることはかなり難しい。


 労務管理は社員の自己管理として、出勤した時点で個人カードをタッチするなど個人が出勤したことを証明できる勤怠確認様式に移行し、どのデータは出勤時・退勤時に労働基準監督署のサーバーへ自動転送される形で労働基準監督署に記録される。その際に超過の可能性がある場合や未申告の勤務などが存在する場合には確認通知が行き、その確認通知に返信をすることで適正な労務管理をされているのか、不適正な労務管理をしているのかを判断できるし、違法残業や残業時間の改ざん行為が発覚した場合にはこれらの証拠と共に労働基準監督署に残ることになる。むしろ、労働基準監督署などの公的機関にも証拠を保管しておくことで労働トラブルに発展した際に労働者側から内部告発があった場合には労働基準監督署が仲介人として介入することができ、告発者本人が証拠書類等を調べることなく書類等がそろうため、トラブルの長期化や企業側での証拠書類等の隠滅もしくは文書および項目の意図的改ざん等により告発不可になることを防ぐことが可能となり、これらの問題においてこれまで泣き寝入り等により回収もしくは労務責任等の追求等が出来なかった人たちにとってもこれらのデータを活かすことでトラブル解決の円滑化および当該疾患等による療養などにより就業が出来なくなってしまうなど私生活に支障を来す状態になってしまった場合にも損害賠償等を請求できるよう“労働者生活支援法”などのいわゆる失業給付の対象にはならない労働者などに対する特例承認や当該企業に対する段階的制裁など今まで黙認されていた企業等の過失や違法性の可視化などの労働衛生責任や賃金の未払い・総所得の改ざんなど労働者の生活への支障を来す行為および労働者の納税の義務を履行する際に労働者が不利益を被るように会社側の不正等を労働者側に転嫁するなどして企業側の厳罰を回避するなどパワーバランスが圧倒的に企業側にあったものをこれらの法律によって労務管理や労働衛生の適正な履行の確認、賃金などの適正な支払いと残業など諸手当における法的割合の遵守がされているかを確認する事が出来る。


その結果、不明瞭な雇用契約や不当な残業など会社側の立場を乱用した疑いがあった場合にはこの法律が適用され、企業側に是正命令等を通知すること、当該社員の健康を損なう可能性がある場合には賃金を保障した上で特例休職を命じることになる。


これらの法律には労働者の各調査権を含めた労働者の権利が法的に保障され、仮に会社側が非を認めなくとも既存の収集データに基づき労働基準監督署・税務署・労務局など労働関連機関が強制調査を行い、不正が発覚した場合にはペナルティを、不正は見つからなかったが、同様の事例が発生する可能性がある場合には注意通知をそれぞれ発布することになる。


 今の日本は全てが企業任せになっており、企業側が適正な業務だというとそれに従っているような印象しかない。だからこそ、これらの問題に包括的に対応し、離職率や休職申請率などの会社を辞める・会社を休む人材の動向があまりにも不自然な企業には労務調査等を行い、適正に労働管理が出来ていないという判断をした場合には求人の取り下げや求人の一定期間の取り扱い停止などを検討する必要があるように感じる。


 日本には“ブラック企業”というイメージがある企業が多いが、それらを生み出してしまったのは労働基準法などが飽和的な上多に陥り、きちんと外部機関との連携が取れていないからではないだろうか?


 失業率の上昇はどちらかというと社会情勢も関係しているだろうが、これらに加えてハラスメントなど“見えない離職“や労働環境・労働待遇などの”見える離職“なども関係しているように思う。

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