告白

 次の日。

 私は再び部室棟に呼ばれた。


 今日はシイナがいない。

 というのも、よく知る顔だったからだ。


「その、……俺、お前のこと、好きなんだよね」


 幼馴染から突然の告白。

 私は一瞬にして、頭が真っ白になった。


「ほ、本気?」

「たりめーだろ。こんな事、冗談で言うかよ」


 シュウちゃんは頭を掻き、目を逸らす。


 正直、意外と言えば意外だけど、いつぞやの森本君よりだったら、まだいいかな、と思ってしまう。


 けれど、私の頭にはなぜかシイナが浮かんだ。


「気持ちは、嬉しいんだけど。私、今は大学受験の勉強に集中したいからさ」

「……そっか」


 明らかに、がっくりとうなだれていた。

 そんな顔をしないでほしい。


 こういうのって、フる方もかなり気を遣ってしまう。

 いざ、落ち込んだ顔を見ると、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「分かった。悪いな。変な話して」

「ううん。こっちこそ、ごめんね」

「……っしゃ。でも、スッキリしたわ」


 そう言うと、シュウちゃんは息を吐いて、笑顔を見せた。


「じゃ、練習行ってくるわ」

「が、がんばれ!」

「はは。おう」


 片手を挙げて、シュウちゃんが部室棟から去っていく。


 やっちゃったな、と思いながら、振り向く。

 すると、廊下の角に見覚えのある顔が見切れていた。


「シイナ?」


 名前を呼ぶと、控えめに顔半分を出す。


「いたんなら、声掛けてよぉ。って、告白中だから、無理か」


 近寄ると、シイナがオドオドと下を向く。


「どしたの?」

「……う、うぅん。一緒に、帰ろ」

「え、あ、うん」


 変なシイナ。

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