第228話
ズバババババババババババ!!!
ドガガガガガガガガガガが!!!
静止した時間の中で俺は神木サー・改を使い暴れ狂う。
あらゆる方向に斬撃が飛来し、静止しているかのように見えるロックゴーレムたちをなすすべなく蹂躙していく。
「ふぅ…」
やがて手応えがなくなってきたところで俺は神木サー・改を止めた。
そして背後を振り返る。
「全部やったよな?」
ダンジョンの通路の至る所に配置されていたロックゴーレムたちは、今や体の至る所に斬撃を受け、バラバラになっていた。
空中に、彼らの体の一部だった岩の破片が飛び、ゆっくりと舞っている。
まるで無重力空間で爆発が起きた時のような状態がそこに体現していた。
「そろそろ解除するか……神止・解除」
ずっと超集中状態に入ったままだと体力を消耗するかもしれないと考え、俺は神止を解除した。
バシュゥウウウウウウウウ!!!
ゴォオオオオオオオオ!!!!!
毎度の如く、俺の動いた軌跡の上に歪みが発生し、突風を生む。
その衝撃も合わさって、斬撃でほとんどボロボロになっていたロックゴーレムたちの体がほとんど致命的に破壊されていく。
『『『『ウゴォオオオオオオオオオオオォオオオオオオ!?!?』』』』
ロックゴーレムたちの凄まじい悲鳴が周囲にこだました。
もはや原型を留めている個体は1匹もおらず、バラバラの岩の破片になったロックゴーレムたちが、神止の反動によって発生した風によって竜巻のように宙に舞っている。
俺はその様子をしっかりとカメラに収めて、配信に載せる。
“うぉおおおおおおおおおお!?!?”
”ファーーーーーーーw w w“
”やべええええええええええええ“
”きたああああああああああああ“
“どりゃああああああああああああ”
“めちゃくちゃだぁあああああああああ”
”ぐちゃぐちゃだぁああああああああ“
“すげええええええええええええええ”
”えええええええええ!?!?!?“
”なんだこれえええええええええ“
”ざまぁああああああああああああああ“
おそらく映像としては、神止を使った時点で映像が途切れ、気がつけばロックゴーレムたちがバラバラになって風で宙を舞っている絵がいきなり飛び込んできた、という感じになっているんじゃないだろうか。
想像してみるとかなりの迫力だ。
事実、視聴者たちはチャット欄で大盛り上がりしている。
凄まじい量のコメントが投下され、もはや読むのも困難だ。
「ロックゴーレむの群れ、討伐完了です」
やがて嵐は収まり、宙を舞っていた岩の破片は地面に落ちた。
あたりには1匹もロックゴーレムは見当たらず、残ったのはかつてゴーレムの形を取っていたはずの岩と、神木サーで削られたダンジョンの壁や地面や天井だけだった。
グググ……
俺は一応神止と神木サーを同時に使ったことを視聴者に説明する。
そしてその間にロックゴーレムだった岩は、ダンジョンの地面に飲み込まれて消えていく。
チャット欄では早速、新種の討伐を祝福するスパチャや、切り抜く素材がたくさん取れたと喜んでいる切り抜き師たちのスパチャで溢れていた。
「それじゃあ、先に進みます」
ある程度飛んできたスパチャを読んでコメントなどを拾った後、俺は探索を再開する。
同接はすでに250万人を突破していた。
まだ深層配信が始まってすぐだというのに、もう前回の配信の最高同接記録の半分にまで到達した。
序盤から相当盛り上がっているのは、俺が先ほどから惜しみなく『神止』という現状、俺が出せる中でも最強の技を使いまくっているからだろう。
最初この技は配信映えしないんじゃないかと思っていたが、どうやらそんなこともないらしい。
視聴者的には、画面が途切れたと思ったら俺がワープしていて、その通った奇跡に歪みが生まれ、風が吹き荒れ、モンスターたちがバラバラに消し飛んだりしている様が、スピード感があってカッコよく、かなり画面映えしているということだった。
”まじでかっけえ“
”こんなの映画やんw“
”とうとうスタイリッシュさまで手に入れたのか神木“
”うおおおおおおお神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!“
”神止まじでかっけえわ“
”神斬が出てきた時はこれが人類最強技だと思ったけど、神拳にそれが覆されて、さらにもっと強い神止まででできちゃった^^俺はもう大将が何をしても本当に驚かないよ“
”これ初見だとマジで何が起こってるのか理解不能やろうなw“
”もうこれバグだろw“
“えっっぐいw”
“笑うしかない”
”いくらなんでも強すぎるw“
”チート“
“fpsの高額チーターよりか意味不明な動き方してるw”
”改めてこいつが2年間も埋もれてたのマジで奇跡だったんだなw“
盛り上がっているチャット欄を横目に、俺はどんどん深層の探索を進める。
ロックゴーレむの群れを討伐してから、しばらくはモンスターは現れなかった。
これはこのまま深層第一層を突破できるだろうかとそんなことを考えた矢先、前方から重々しい足音が響いてくる。
ズシン……ズシン……
「お?」
『ウゴォオオオオオオオオオオ!!!!』
現れたのは、またしてもロックゴーレムだった。
ただし大きさが違う。
通常のロックゴーレム十体分はありそうな背丈の巨大なロックゴーレムが、重々しい足音とともにこちらに向かって進撃してくる。
『ウゴゴゴゴォオオオオオオ!!!!』
ロックゴーレむの上位種……ここではキングロックゴーレムとでも呼ぼうか……が、一歩一歩その太い足を踏み出すたびに、地面が凹み、体の芯に響くような重々しい足音が鳴り響き、ダンジョン全体がグラグラと揺れた。
”なんかでっかいのきたぁああああああ“
”強そうなのきたああああああああああ“
”でかいのきたぁあああああああああ“
”上位種きたああああああああああ“
“デカくなった!?”
“ロックゴーレムのボスきたぁああああ”
”でっっっか“
”でかいな“
“八十尺様ほどではないがこれはでかい”
“普通に強そう”
“でかいだけじゃなくて再生能力持ちだからな”
”さあ、どうする神木?“
”とりあえず神斬あたりで様子見しよう^^“
”でかいけど大将なら余裕だべ^^“
明らかなロックゴーレむの上位種にチャット欄が沸き立つ。
俺は先制攻撃を仕掛けても良かったのだが、配信の盛り上がりを意識して、まずは相手の出方を見る。
『ウゴゴゴゴゴオオオオオオ!!!!』
キングロックゴーレムは両腕を上げて咆哮すると、両腕を左右の壁に突き刺した。
ムクムク……
グニャグニャグニャグニャ…
「お…?」
次の瞬間、ダンジョンの壁や地面が隆起し始める。
モンスターの死体を回収する時よりももっと激しく動き、まるで液体のように波打っている。
どうやらキングロックゴーレムが何かしらの特殊能力を使うつもりらしい。
何が起こるのだろう。
俺が身構えながらも様子を今持っていると、液体のように動いていたダンジョンの壁や地面が、やがて徐々に形を取り始めた。
『ウゴ…』
『ウゴゴゴゴゴ…』
『ウゴ…』
『うゴォオオオオオオ!!!』
『ウゴゴゴゴゴォオオオオオ!!!』
「おお、マジか」
壁や地面からたくさんのロックゴーレムが生えてきた。
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