第213話
「オーマイガァアアアアアア!?ホーリーシット!!!!」
ものすごい勢いで自分の元まで迫ってくる黒い波のような大軍を見て、渦巻きナルドは叫び声を上
げる。
急いでスナイパーライフルを捨てて、すぐに機関銃に持ち替えた。
ドドドドドドドド…!!!
周囲を足音が蹂躙する。
浜辺を埋め尽くすほどの数の神木拓也の無数の視聴者たちが、大将を狙撃しようとした敵を蹂躙せんと大挙して押し寄せてくる。
「くそ!!!お前らなんかこうしてやる!!死にやがれ!!!うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
パパパパパパパパ!!!!
銃声が鳴り響いた。
渦巻きナルドのもつマシンガンが火を吹き、無数の弾丸が大軍の前列に向けて発射される。
これだけの大軍だ。
打てば誰かには当たる。
マシンガンの銃口から放たれた弾丸は、防具を身に纏っていない裸の神木拓也の視聴者の何名かを捉えて、一発で死亡状態まで追い詰める。
バタバタと弾に当たったプレイヤーがどんどん倒れ、死体の山が築かれる。
「うおおおおおおおおお!!!」
パパパパパパパパ!!!!
渦巻きナルドは乱射を続ける。
身を守るものを何も身につけていない神木拓也の視聴者たちが次々に倒れ、死んでいく。
だが、それでも大軍は止まらなかった。
視聴者の屍を乗り越え、死を厭わずに一心不乱に突撃してくる。
「クソッタれえええええええ!!!」
どんどんこちらに迫ってくる神木の視聴者の大軍に、渦巻きナルドは汚い言葉を吐き、少しずつ後退しながら機関銃を乱射する。
だが多勢に無勢。
自分の元にやってくる視聴者全てを殺すことは不可能だった。
結果。
「うわああああああああああ!?!?」
渦巻きナルドの元に辿り着いた黒い波が、あっという間にナルドを飲み込んだ。
「くるなっ、くるなあああああああ」
渦巻きナルドは絶叫し、もはや役に立たなくなった機関銃を捨ててナイフを振り回す。
神木拓也の視聴者は、武器こそ持っていないものの、全員で渦巻きナルドを囲み、一番ダメージの少ない殴り攻撃で渦巻きナルドを蹂躙する。
「くそがあああああああ!!!」
ちくちくとダメージが加算され、ついに体力がゼロになった。
画面が真っ暗になり、deadの文字が表示される。
無防備の何の武器も持っていない集団に、数だけで押され、殺されてしまった。
「ファック!!!」
渦巻きナルドはキーボードを思いっきり叩き、怒りをぶつける。
ひとしきり近くのものに当たり散らし、怒りがおさまってきた後、渦巻きナルドは、自らの拠点でリスポーンした。
「かかってきやがれ、日本人ども…」
渦巻きナルドは取られてしまった装備に変わり、また新たな装備を見に纏う。
今度はロケットランチャーやグレネードのような高火力の武器で、全身をガチガチに固めた。
「ここまで来い!!!受けてたつぞ!!!」
渦巻きナルドは、急いで馬に乗り、再び神木拓也の拠点へと向かった。
今度は何もない草原などで戦うつもりなどなかった。
馬に乗り、攻撃をしながら自らの拠点まで誘導する。
そして拠点に守られながら一方的に大軍に対して高火力を叩き込んでやる。
そんな作戦を、渦巻きナルドは即座に考えていた。
「このまま引き下がれるか!!!日本人どもに俺の怖さを思い知らせてやる!!」
ラストの実力者として、このまま引き下がるのは彼のプライドが許さなかった。
= = = = = = = = = =
ドドドドドドド!!!
浜辺を大軍の足音が蹂躙する。
「あっという敵じゃないか、我が軍は」
俺は、白い砂浜を埋め尽くすほどの自らの軍勢の数に、思わずそんなことを言ってしまった。
視聴者たちは、敵の位置がわかると、まるで獲物に群がる軍隊ありのように一斉に裸のまま蹂躙せんと突っ込んでいった。
“いけえええええええええええええ”
“うおおおおおおおおおおおおお”
“殺せえええええええええええええ”
“逃すなああああああああああああああ”
”どりゃあああああああああああああ“
”神木軍団突撃ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい“
”やれぇえええええええええええええ“
“死ねええええええええええええええええ”
”神木拓也万歳!神木拓也万歳!神木拓也万歳!!!“
”全ては大将のために!!!!“
”敵を蹂躙しろぉおおおおおおおおおお“
”神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!!!!“
突撃する視聴者と一緒に、チャット欄も盛り上がる。
俺は黒い津波が、陸を埋め尽くし蹂躙していく様をカメラ係としてぼんやりと眺めていた。
パパパパパパパパ!!!!
銃声が鳴り響いた。
どうやら敵がスナイパーライフルから機関銃に持ち替えて、打ちまくっているようだった。
バッタバッタと弾を喰らった視聴者が倒れていく。
だが、それでも大軍は止まらない。
視聴者の死体を乗り越えて、敵へと向かって進んでいく。
そして…
「あ…」
敵が大軍の中に飲み込まれた。
あっという間の出来事だった。
「え、どうなった…?」
視聴者が敵の元に群がり、敵の姿が見えなくなる。
俺は急いで軍団の中をかき分けて、敵の様子を確認するために接近していく。
「あ……」
皆、俺の配信を見ながらプレイしているのか、視聴者の軍団は俺が動くと、さーっと左右に分かれて道を開けてくれた。
俺が敵の元に辿り着いてみると、そこには無惨な姿で地面に転がっている敵の死体があった。
どうやら敵を囲み、殴りだけで蹂躙して倒したようだった。
”よっしゃああああああああああああ“
”うおおおおおおおおおおおおおおお“
”どりゃああああああああああああああ“
“きたああああああああああああああ”
“勝ったぁあああああああああああああ”
“見たかぁあああああああああああああ”
“神木拓也最強!神木拓也最強!神木拓也最強!”
“ざまああああああああああああああ”
初陣?の勝利に視聴者がチャット欄で歓喜の声を上げる。
一人の視聴者がスタスタと歩いてきて、敵の死体から武器を剥ぎ取り、俺に渡してきた。
全体チャット
:大将どうぞ。これ、使ってください
「お、おう…ありがとう」
俺は敵が持っていたスナイパーライフルとマシンガンと、防具やナイフなどの武器を手に入れた。
周りを見渡すと、敵を蹂躙し終えた視聴者たちが全員じーっとこっちを見ている。
「と、とりあえず…初陣は俺たちの勝ち!!お前らよくやった!!!」
パパパパパパパパ!!!
俺は奪った銃で祝砲をあげる。
周りで視聴者たちが、勝利を祝うように一斉にぴょんぴょんと飛び跳ねた。
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